この人、超えてきましたよ、自分自身を。


「Mommy/マミー」82点★★★★




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とある世界にある、カナダという国での出来事。
シングルマザーのダイアン(アンヌ・ドルヴァル)は
ピンチに立たされていた。

15歳の息子スティーヴ(アントワン=オリヴィエ・ピロン)を

施設から引き取り、自宅で見なければならなくなったのだ。
スティーヴは知的な少年だが

ADHD(多動性障害)を持ち、
攻撃的になると手が付けられない。

そんな二人の前に、隣人の女性が現れて――?!



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グザヴィエ・ドラン監督の新作。

これは衝撃を受けました。

前作「トム・アット・ザ・ファーム」で
ちょっと走りすぎではと不安になっただけに
この飛躍には、驚いたというか感動した。


自分のテリトリーから、
大きく一歩外に出たという感じ。


「マイ・マザー」と同じ母親と息子という
テーマに回帰しながらも
これまでの自分の分身のようなキャラクターから
また違う“困難”を持った主人公を作り出すことで
自意識や自己探求から踏み出し、
広い視点を得たのだと思います。

でも、その核にある
絶対的な自分は、揺るがない。

母親、隣人の女性などのキャラクター造形、洞察も
深みを増しているし、
ユーモアもたっぷり。

特に今回、特徴的な
1:1比率の正方形の画面の息苦しさといったら!

それは人間の“個”の限界を表現しているんだと思う。

その関係がつながった瞬間の
開放感と高揚がたまりません。

それは悲しいことに一瞬だったりするんだけどね。

いや~
この人、どこまで跳べるんだろうと
心がワサワサしてきますね。


余談ですが
この映画のプレス資料は
ファション誌並みのクオリティで



↓

監督が自身のビジュアルを計算し尽くした
超オシャレな写真がたくさん載ってるんですよ。


映画を観る前は「若干のケッ」

観た後は大声で言います。
「うん!好きなように、やっていい!」(笑)



★4/25(土)から全国で公開。
「Mommy/マミー」公式サイト