ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

アラヤシキの住人たち

2015-04-28 21:45:01 | あ行

本当は、こういうところで生きたい。

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「アラヤシキの住人たち」74点★★★★


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長野県小谷村。

車も通らない山奥にある
二階建ての大きな古民家、アラヤシキ=新屋敷。

そこでは
若者から60代くらいの人まで20人ほどの男女が
犬や猫、山羊たちと暮らしている。

その共同体の春夏秋冬を
「ナージャの村」「アレクセイと泉」の本橋成一監督が映した
ドキュメンタリーです。

そこは
1974年に設立された「真木共働学舎」で
さまざまな差異を持つ人が
協力して、共同生活を送る場所だそう。


でもこの映画は
そうした詳細はあまり語らず、
そこにいる人々のバックボーンも知らせない。

ただ、美しく厳しい自然のなかでの
彼らの日々の暮らしを静かに追っていく。


毎朝、当番が木の板をたたき、
ごはんの時間を知らせる。

みんな一緒に食事をしながら
「今日は、裏の畑を耕します」とリーダーが言う。

働からざるもの、食うべからずで
全員、作業をするのだけど
みんな年齢も違うし、ハンデも違うし、
作業のペースも全然違う。

でも誰も「サボってる」なんてことは言わない。

できる者が、できる分をやる。


それぞれが、それぞれの役割りを引き受け、
共存しているんですね。

そのなかで
四季が移り、人も入れ替わり
一人の青年が、少しずつ変化していったりする。
新たな命も生まれる。


なんという豊かでまあるい
しあわせなんだろうと

ああ、いいなあ、とつくづく思いました。


創設者・宮嶋眞一郎氏の
「あなたという人は 地球が始まって以来、絶対にいなかったはずです」という言葉が
見ているうちに、どんどん心に染みてきましたよ。


★5/1(金)からポレポレ東中野で公開。ほか全国順次公開。

「アラヤシキの住人たち」公式サイト
コメント
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