「お前んち、ママが二人なの?クールじゃん!」という
現代のリアルが
無理なく伸びやかに描かれた良作です。
「キッズ・オールライト」83点★★★★
同性婚したレズビアンカップル
ニック(アネット・ベニング)と
ジュールス(ジュリアン・ムーア)。
二人はともに同じ精子ドナーから
精子提供を受け、
レイザー(ジョッシュ・ハッチャーソン)と
姉ジョニ(ミア・ワシコウスカ)を産み、
4人家族となって幸せに暮らしていた。
そんななか
18歳になったジョニは
弟にせがまれて
自分たちの生物学的な父親を探し出す。
その人の名はポール(マーク・ラファロ)。
姉弟は母親にナイショで
父なる人物に会いに行くことにするが――?!
いや~、ホント
この青空のごとく爽やかな
いい映画でした!
まずは
多様化する現代の家族のかたちを
「ちゃんとわかってる」人が描いてるなあという
気持ちよさですね。
監督のリサ・チョロデンコは実際に
自身も精子提供を受けて子を出産しているそうで
なるほど、やっぱりそうか!
この4人家族は
一見ノーマルでなさそうにみえて
いやいや
モラルや見識がめちゃくちゃノーマルだし
彼らの周囲の人々もまた
同性婚も精子ドナーも
人それぞれの生き方としてきちんと寛容してくれている。
「お前んち、ママが二人?クールじゃん!」って
言える感覚、最高じゃないですか!
それにこの家族に起こる問題は
全然特別なことじゃない。
例えば、
男女だろうが、男男だろうが、女女だろうが、
どんな家庭でも二人いれば
父的役割と、母的役割って、分担されていくものですよね。
(シングルマザー、ファザーの場合は
それを一人でこなさなきゃいけないから大変だけど)
本作では
医師のニックが父的役割を担い
この家の働き手であるという自意識に支えられて
がんばっており、
対して
専業主婦的役割を担ったジュールスは
「自分にはまだ何かできるはず」という自己実現願望を
持っている。
そんな家族のなかに
異質な存在=ポールが入ってきたとき
その家族の均衡が崩れる様子が
とても繊細に、ユーモアたっぷりに描かれてて
ウケるんですねえ。
さらに長年連れ添うカップルの倦怠期や惰性、
そして
「この人じゃなければ、自分も違ってたかも」となる展開、
ね、「ブルーバレンタイン」でもおんなじ。
どこの家でも
「あるある」だらけだと思いますよ。
アネット・ベニング&ジュリアン・ムーアのカップルが
リアル過ぎて怖い気もしますが(笑)
単純に女=母性とかじゃない、
人はその持ち場でいろいろ持ち分あるんだというのも
爽快だったなあ。
なにより
人とちょっと変わったことや
特別なことを「差別」にしない
この自然さと、あたたかみと、笑いを、
ぜひ楽しんでいただきたい!
★4/29から渋谷シネクイント、TOHOシネマズシャンテほか全国で公開。
「キッズ・オールライト」公式サイト