こんにちはタッキーです。業務時間の都合上、日をまたいですぐの更新になります。
先日久しぶりに稽古に参加しました。私の鬼門は句を詠むところでしょうか。百人一首の読み手をイメージしてやっていますがいまいちしっくりきません。
これは今までの私の身体にはなかった新しい感覚なのでしょう。色々な分野においていえることですが、身体が覚えたことは凝り固まりがちです。
芝居においても多分、人それぞれ癖になっている言い回しや動作があると思います。それはそれで味があるかもしれませんが、
演技の幅を狭めている側面もあるでしょう。それゆえ、慣れていない演技をすることも大事だということで、句を詠む芝居もモノにできればなと思います。
このまえ音楽の先生と話をしていて、自分にとって新たな発見というかつながりが見つかったので、メモがわりに残しておきます。
最近のドラマは説明が多いと聞きました(私はテレビをまったく観ないのでわからないのですが。話題になっているオリンピックですら一度も観ませんでした・・・)。
どれくらいかというと、登場人物の心情や独白までも説明するそうです。それゆえ、視聴者それぞれが登場人物の感情を解釈する余地がなく面白みがないとのこと。
説明しすぎてはいけないことは演劇においても通ずることだと思います。
というのも、演劇においても説明する台本は良くないものだとされている(らしい)からです。
日常の会話を思い浮かべてみればわかりますが、いちいち5W1Hを説明することはありません。例えば友人と水族館に行ったからといって、
「私たちは水族館にやってきた」等と口にはしないでしょう(詳しい話は平田オリザさんの著書『演劇入門』に書いてあります)。
演劇において難しいのは人と人との会話のみで観ているお客さんに状況を説明しなければならないことです。
当然、舞台においても内心の思いを説明したりはしません。説明せずに説明する、という課題をいかに克服するかが台本づくりのひとつの肝であるように思われます。
もうひとつ、最近は顔を合わせてコミュニケーションをとることが少なくなってきているのではないか、という話もありました。
それは将来的には、感情を読み取る能力が失われていくのではないか、ということです。演劇において重要な要素として「顔」が挙げられます。
お客さんは顔をみたいのです(I演出家の受け売りですが)。その顔はどんな感情を示しているのか。
それがまた演劇を面白くするのかもしれません(「かもしれません」と書いたのは、私自身は他人の作品をあまり観ないからです)。
しかし、そのためにはお客さん自身に感情を読み取る能力があることが必要です。演劇はその能力が人間にそなわってこその舞台芸術といえるのでしょう。
さて、私はここで気づいたことがあり、いま書いたばかりですが、それは感情を読み取る=顔を読むことも人間の能力のひとつなんだということです。
なんだか当然のことをいっているようですが、私は新鮮な心持ちになりました。
人類史をたどってみれば、人間は元々ひとつのところに定住するのではなく、移動しながら生活する生き物だったようです。
新しい場所へ移動すれば様々な情報が必要となります。そして情報を得るためには索敵する能力が必要です。現代のことを考えてみれば、
新しい土地へ引っ越せばどこに何があって、道はこうなっていて、といった具合にその場所のことを少なからず知ろうとするでしょう。
それは現代で発揮される人間の索敵能力です(このあたりの話は國分功一郎という先生の『暇と退屈の倫理学』に書いてあります)。
前置きが長くなりましたが、「顔を読む」、という行為もまた、索敵能力のように人間に備わった能力のひとつなのではないか。
そう考えると、なんだか重要なキーワードのような気もしてきます。
もしかしたら、顔の美醜や外見上のものではない、その人の気質や人間性を読み取る可能性にもつながるのかもしれません。
そこまで考えるとうさん臭さがただよってきますし、安易でくだらない精神論にもなりかねないので、あくまでもしかしたら、の話ですよ。
※「安易でくだらない精神論」について言及するのはやめておきますが。
話が長くなってしまいましたが、最後に恒例の音楽紹介です(こんなに話したがるのは何かストレスでもあるのか・・・)。
https://www.youtube.com/watch?v=cishG2a3DMc 穏やかな曲調です。
https://www.youtube.com/watch?v=04BUoX6_8zk 上記のライブバージョンです。哀愁や風情がありますね。
https://www.youtube.com/watch?v=C7HL5wYqAbU 生で聴いてみたいですね。すごい迫力がありそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=6VsfvOj7FXg 幻想的です。ギターってこんな音出せるんですね。