青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

アメリカで見つけたレコード屋と珍盤!

2014-06-28 | 青春の音盤

2009年のこと。ハリウッドでホテルから、かなり離れた場所に一軒のレコード屋を見つけました。店と呼ぶにはいかにも小さく、一見雑貨屋風で、既に店は閉まっていましたが、うすぼんやりとした電燈の灯ったショー・ウインドウに飾られた古ぼけたジャケットの数々が、いかにもその店を象徴しているかのように目に飛び込んで来ました。ジェームズ・キャグニーの「ヤンキー・ドゥードル・ダンディ」、ジュディ・ガーランドの「ラジオショー」。

翌日お店の開くのを待って入って行くと、中年の人の良さそうな店主風の男性が、「何を探しているのですか?」と声を掛けてきた。前から欲しいと思っていたけれど、日本では入手の難しいレコードの題名をあげると、驚いた事にものの3分と経たない内に、現物が目の前に出て来ました!分厚い台帳のようなものでタイトルと番号を調べて店の奥の倉庫らしき場所に消えると、次の瞬間、レコードを片手に得意そうに微笑を浮かべながら、「どうだい?」と言った具合に現れる。そして握手を求めて来る。あんまりその格好がおかしいので、片っ端から題名や作曲者名を言ってみる・・・。結果は握手の連続でした。

こんな店が日本にも一軒くらいあってもいいなと思った。レコード1枚1枚に愛着を持って、ある時は折角見つけて来たのに、手放すのが惜しいなという店主の姿にコレクター心理の共通点を見たり。アメリカではこういった人が、レコード店に限らず他の店でも数多く見受けられて、とても羨ましかった。この店は映画音楽関係ばかりではなく、スター達のLP、ラジオのエア・チェック、ジャズ、ポピュラー、果ては店主の録音によるカセットまでが置いてあった。狭い店だが、そこを訪れる人と店主のコミュニケーションが、非常に巧くツーカーでLPが売られて行くのは、端で見ているだけでも楽しい。

アメリカは人件費が高い国だから、かなり大きな店でも、店員は殆ど1人か2人といった所が多かった。大都市は勿論、田舎町へ行けば尚更。しかし、それがかえって客との対話を持てるというサービスにもなっているという効果があり、また客の方も押し売りされる事なくレコードを心行くまで見られると言う利点もあった。店の大小を問わず、エサ箱があり、AからZまで整理されている。歌手もABCに分けられている。例えばAの所を見てみると「ALAMO」「ARABESQUE」「AN AMERICAN IN PARIS」。Bの所を見ると昔懐かしい珍道中シリーズ「BING CROSBY & BOB HOPE」と言った具合。大きな店では量も増えるので、探す楽しみもそれだけ大きくなる。

コレクターの思いは同じだろうが、まだ見た事もない、そして恐らく誰も持っていないだろう1枚を見つけ出した時には、顔にこそ出さなくても思わずニンマリとして大事に腕に抱える。この一瞬はこたえられない!当時入手したものを少し紹介してみると・・。(おそらく皆さんご存じないでしょうが・・)ジョン・ウェインとクレア・トレヴァーが共演する「駅馬車」。これは冒頭にジョン・フォード監督自身による紹介が入ると言うオマケが付いている。B面ではこの同じドラマを西部劇の超有名B級スター、ランドルフ・スコットがやっていて、この組み合わせの妙がマニアを泣かせる。共演はA面と同じクレア・トレヴァー。実はB面の方が先に制作されたものであるというのが驚きである!

ハリウッドに君臨した大スター、ゲーリー・クーパーとクラーク・ゲーブルのカップリングされたオリジナル・ラジオ盤はクーパーの「ヨーク軍曹」。共演は映画と同じくジョーン・レスリー。そして名脇役ウォルター・ブレナン。片やゲーブルは「紅塵」。共演はアン・サザーン。「CALLING ALLSTAR」というLPは、珍品中の珍品だった。オーソン・ウエルズ、ハンフリー・ボガードらの歌が聞けるのだ!

やはり面白い物はマイナー・レーベルにある。それゆえ、プレス枚数も極端に少ないので、見つけた時はすぐ買い求めないと、二度と巡りあうことはない。僕はここでビートルズのクリスマス・アルバムも見つけた!星の数ほどあるレコード屋のレコードの中から、ひときわ輝く星を見つけ出す楽しみは、コレクターの夢であり、それを見つけ出した時の喜びはまた、格別のものである。



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