青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

東京スポーツは “大人のおもちゃ箱” だ!

2020-04-10 | こんな「モノ」ありました!

タブロイド (Tabloid) とは、新聞の用紙サイズで、新聞紙の二種類のスタンダードサイズのうち小さい方であり、大きい方はブランケット判と呼ばれます。また、元々このサイズを採用していた新聞がセンセーショナルな事件報道やゴシップ報道などに力を入れる大衆紙であったことから、「タブロイド」という語は、今日では大衆紙の報道スタイルを連想させます。

日本のタブロイド紙と言えば、夕刊フジや日刊ゲンダイが頭に浮かびますが、実はスポーツ新聞がブランケット判ではあっても、大衆紙として確固たる地位を築いています。特に「東京スポーツ」と系列紙(関西では大阪スポーツ)は高度な「タブロイド思考」として知られています。70~80年代には、世間で何が起こっていようと1面トップはプロレス報道でした。私はこの「大阪スポーツ」とタブロイド紙「週刊ファイト」が大好きでした。

ケネディ大統領暗殺事件の際、全新聞社がこのニュースを1面で報道した中、東京スポーツは唯一「力道不覚!新兵器も不発」と、力道山対ブラッシー戦を1面に掲載。1989年の昭和天皇崩御の翌日の1面も「ブッチャー流血」でした。

プロレスが下火になると、脱プロレス路線に変更、「マドンナ痔だった」、「人面魚重体」、「フセインインキン大作戦」、「ダイアナ大胆乳」、「宇宙人化石発掘」など、1面の奇抜な見出しで、夕刊紙の売り上げが軒並みダウンする中、平成10年頃の東スポ社員の年収は45歳・平社員でも3000万円近かったというほど、一人勝ち状態でした。これらの見出しの下には小さく「?」「か」「も」「説」「絶叫」などの言葉が書かれているものの、それらは新聞スタンドに陳列されている状態や折りたたんである状態では見えないように計算されて書かれています。

しかし、東スポはそう馬鹿にしたものではなく、大きなスクープを当てることも多い。ただ、普段の記事が記事だけに、「東スポの記事だから」と冷淡に扱われることが多い為に、そのスクープが東スポ独占状態の時点では、スクープとして世間を騒がせることが少ないという不幸に見舞われているのは笑えます。例えば2008年5月12日の1面で、「サザン解散か」という見出しで、サザンオールスターズの無期限活動休止をスクープしていますし、2003年秋には、総合格闘家のミルコ・クロコップが母国クロアチアの総選挙にクロアチア社会民主党から出馬することをスクープしました。芸能以外では、1997年にいち早く宗教団体「摂理」の問題と危険性も報じていました。

「日付以外は全て誤報」と言われるほど娯楽性を重視し、「“ガセ”の東スポ」という異名を持とうとも、海外のゴルフトーナメントの速報では夕刊紙の利点を生かし、日本で1番早くその結果を報道。野球・サッカー・格闘技などのスポーツ報道に加え、芸能、政財界の動きから、海外ニュース、大穴を当てる競馬面、果てはピンク情報まで満載した紙面は、まさに「大人のおもちゃ箱」と呼ぶにふさわしいと思います。

また、この東スポ、海外では面白いエピソードを残しています。2000年のシドニーオリンピックの現地取材の際は、「東京スポーツ」という首都名を冠した名称のために、現地関係者に「日本の一流スポーツ新聞」と勘違いされ、他紙よりも好待遇を受けたのです。その理由は、欧米系諸国では首都名は国の中央政府を意味することが多いからです。(例:ワシントン=米国連邦政府)



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