久しぶりに、ショルティのマーラーを聴いた。
手元にある音盤は、上記の他、1番「巨人」、3番、5番、8番「千人の交響曲」だが、番号が増えるに従って馴染みも薄くなる。
ただ、マーラーの音楽は歳と共に味わいが変化していくもののようで、今回聴いた「復活」は、幽玄な世界観を広大なスケール感で提示するすばらしいものであった。(ショルティ指揮ロンドンシンフォニー:1967年制作)
マーラーは、第5楽章に次のような詩(部分)を置いた。
おお、信じよ、
おまえは空しく生まれたのではない!
空しく生き、苦しんだのではない!
生まれ出たものは、必ず滅びる。
滅びたものは、必ずよみがえる!
震えおののくのをやめよ!
生きることに備えるがよい!
おお、あらゆるものに浸み渡る苦痛よ、
私はおまえから身を離した!
おお、あらゆるものを征服する死よ、
いまやおまえは征服された!
私が勝ち取った翼で
愛への熱い欲求のうちに私は飛び去っていこう、
かつていかなる目も達したことのない光へと向かって!
他方、3・11の鎮魂歌のようにも聴いた。
あの大震災で奪われた数知れない人々の魂への想いである。
そう言えば、ジャケットにある樹木は、(陸前高田市の)高田松原にただ1本生き残った「奇跡の一本松」のように見えなくもない。
蛇足:マリス・ヤンソンス/ロイヤルコンセルトフェボウによる「復活」は、こちらでお聴きになれます。