TBSの人気報道番組「報道特集」のキャスター、金平氏によるジャーナリズム、特に、昨今のテレビ報道に対する辛口の評論集である。
現政権による報道への圧力が強まる中、特にテレビの時事ニュースの伝え方は、政権や与党の意向を忖度(そんたく)して、あたりさわりのない報道に終始してはいないか。
例えば、2013年幕張で開催された「ニコ動超会議2」で、展示された自衛隊の10式戦車に迷彩服を着こんで搭乗し愛嬌をふりまく安倍首相の姿をテレビはどう伝えたか。
憲法66条2項には、「総理大臣その他の国務大臣は文民でなければならない」と規定されている。その意味もあって、歴代の首相や閣僚は、防衛省の式典などには背広姿で出席しているわけだが、この(迷彩服姿の)首相をテレビが無批判に伝えることがあってはならないはずだ。
著者は、長年TBSにあって報道の現場を歩き、また現在はニュースキャスターとして、迫りくる圧力に抗しながら何が真実かを身をもって伝えようとして来た。その姿は感動的ですらある。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★)