アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

黒川創著「岩場の上から」

2017年04月16日 | 読書三昧

山岳エッセイを連想させる書名だが、舞台は戦後100年(2045年)の日本。
「これはもう戦争だ。でも、そう呼ぶことは禁じられている。」「新潮」2015年12月~16年11月号連載、428頁の大作。

 

そこには、極右的政権がつくった憲法無視の日本が寒々と広がっていた。原発事故で拡散した放射能の影響がそちこちにあり、また、「積極的平和維持活動」という名の戦争に、過酷な訓練を施された(陸軍の)若者たちが(海外の戦場へと)送り出されて行く。

つまり、30年後の世界をイメージすることによって、現政権が進める危険な政策の数々を告発する筋立てになっている。とても怖い話だ。

主人公の一人、17歳の「シン」は、遺跡の発掘作業を通して人類の進歩とそこで培われた英知を学ぶが、彼は、彼が暮らす日本の将来に希望を見出すことができたであろうか。

コメント