池澤夏樹編「日本文学全集」第7巻、531頁。
平安時代中期(1,200年前)に清少納言というスーパーセレブが歴史的な「枕草子」というエッセイ集を残したことに驚きながら読んだ。
推薦者の上野千鶴子さん曰く。
「わたしは、酒井(順子)さんを訳者に選んだ編者(池澤氏)の見識に驚いた。清少納言という機知に富んだ才女、意地悪な目で周囲を観察しながら辛辣な筆を使い、イケメンとファッションが好きなミ-ハー的で適度に空気を読み、冠位が好きな権威主義者で(且つ)無邪気な自己顕示欲があり、働いて生きる女の自負を持ち・・・」と作者と訳者をダブらせた解説が面白い。
他に、高橋源一郎訳「方丈記」と内田樹訳「徒然草」。
蛇足:「枕草子」119
しみじみするもの。
親孝行の人。
吉野の金峰山に詣でるための御嶽精進をしている、身分ある若者・・・。
男でも女でも、若くて美しい人が漆黒の喪服をまとっている姿は、あわれ深く感じるものです。
九月の末、十月の初め頃に、ほんの聞こえるか聞こえないかくらいに耳に届く、こおろぎの声。
卵を抱いている鶏。
秋深い庭の草に、色とりどりの玉のように置かれた露。
夕暮れや夜明け前に、河竹が風に吹かれている音を、目を覚まして聴く時。また、夜なども全て。
山里の雪。
想い合っているのに、邪魔立てする人がいて、思うにまかせない若い男女の仲。