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今日はちょっとご案内したい場所があります。
上の写真に心当たりのある方は、かなり歴史にお詳しい方ではないかと思いますが、、、
実はこの建物は日本人なら誰でもよく知っているある歴史上の人物が亡くなるまでの
十年間を過ごした隠居所でもありました。
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先ずはそこへ行く前にこのお食事処で、名物の太いうどんをいただいて、、、
窓から見えるづっと先の大きな森が今から行く所です。
昔はこんな立派な食事処もなく、お土産屋さんもありませんでした。
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この道もこんなに整備された道ではなかったんですよ。
山あいの田んぼの中の小道でした。
今はここもこんなに綺麗になってしまい、あちこちからの観光バスが近くまで入る
ようになり、ますます観光地化してしまいました。
右側にはたくさんの“なにわの梅”の木が、、、、これもなかったですね。
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しばらく行くとうっそうとした杉木立の向こうに何やら門らしき建物が、、、
周りはうっそうとした熊野杉が天高くそびえています。
更に進むと、、見えてきました。味のあるご門です。
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そしてこれが櫟門(くぬぎもん)と言われるご門です。
櫟の丸太を使い簡素ながら味わいのある門構えだと思いませんか?
昔はこの手前の部分で下馬下乗だったようです。
今日はこのご門の横の“お成り道”を通り、外側を見学後お庭に入ります。
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お成り道沿いに見えてきたのは、ここの主の考案で作られたという“突き上げご門”
と呼ばれるご門です。
昼間は上げて通り道にし、夜は下げてご門にしたとのこと。
なかなか効率的なアイディアですね。
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笹の道を辿ると昔あるじがこの小高い山で月見をしたと言われてでいる“観月山”
になります。
ここで中秋の名月の宴を開き家臣や村人と月見を楽しんだのだそうです。
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裏のお庭をぐるっと回ってこの階段を登るとやっと正面の建て物とお庭に出ます。
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手前に見えてきたのが玄関です。
左の茅葺き風の塀も昔はありませんでした。
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玄関の隣が溜まりの場で、ご座の間、お次の間と続きます。
今は庭からの見学しかできませんが、昔はこの部屋の中に上がり見学できました。
部屋と部屋の間に敷居がなく上下の隔てを作らなかったといいます。
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そしてここが有名な丸窓。
家主はこの三畳の小部屋で大日本史を編纂したと言われています。
といったら、、、もう誰が隠居した場所かおわかりでしょう。
そう、あの有名な水戸光圀,、黄門様でした。
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そしてここが“心字池”です。
人の心は裏側から見よとの戒めから心という字を裏から見た形に掘られた池です。
心は裏側から見ても潔白であるようにと、黄門様ははここに白連を植えたと言われています。
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この隠居所の裏には同じように茅葺の守護宅が再現されていました。
光圀公の守護をした武士たちの居住した家で、以前はありませんでした。
故郷の実家から車で15分位の場所にあるこの「西山荘」は以前にも何度も訪れていますが
今回久しぶりに行き、すっかり観光地化している様子に少々びっくりでした。
道は整備され敷地の中も見学コースができ、その様子は見違えるほどです。
今ではこの水戸光圀も黄門様としてテレビ放映ですっかり有名になりました。
最近何度目かのリメーク版も放映され始めたようですね。
こんな有名な歴史上の人物が、こんな辺鄙な山奥に隠居所を構えていたことは
意外に知られていないのかもしれませんが、茨城県民としてはとても光栄なことと
思います。
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帰り道に偶然舞い降りた旅をする蝶“アサギマダラ”
ひらひらと飛び交ううちに手の上に乗ってきたアサギマダラにはびっくりでした。
このアサギマダラは一目見たいと思いつつ、なかなか出合えなかった蝶でした。
今年の夏にもあちこち訪ねてもなかなか出合えなかったアサギマダラでしたが
偶然にもここで出会うことができたのも何かのご縁ということでしょうか?