2024年2月5日(月)名古屋ミーティング いなべ市役所シビックコア棟会議室
性別違和をもつ当事者 1名
同性愛当事者 1名
トランスジェンダーの親 1名
同性愛当事者の親 1名
人権教育の活動団体の方 2名 計 6名
今回のミーティングは、人権教育の活動団体、三重県人権教育研究協議会(以下、三重県人教)の方の運動についてや、その中での困りごと、質問に、当事者やその家族がお答えする形で進めました。
〈統一応募用紙の性別欄について〉
三重県人教
・統一応募用紙とは、各企業で作成した社用紙に就職差別につながるおそれのある事項が多く存在しており、被差別部落の人たちをはじめ、家庭状況の厳しい人たちが差別される原因になっていたことから、新規高卒者の就職応募用紙について、労働省、文部省及び全国高等学校長協会の協議により定められた様式を統一応募用紙として1973年度から全国的に使用してきた。しかし、活動団体による運動により、1996年4月に全国高等学校統一応募用紙類の一部様式変更(「本籍」欄、「家族構成」欄、「胸囲」「色覚」欄が削除)が行われた。また、2005年4月には、統一応募用紙が改訂(「保護者氏名」欄が削除)された。
・現在の統一応募用紙には、性別欄が存在するが、2020年には、近畿統一高校応募用紙(近畿労働局)の性別欄が削除され、三重県を除く近畿地方では、性別欄が削除されたものが使われている。近畿地方以外では、未だ、就職希望の高校生は、性別欄のある統一応募用紙への記入を求められている。
・2005年の「保護者」欄削除の際も、全国に先駆けて近畿地方で削除された際、三重県としては、保護者欄に斜線をする形を取り、それが全国に広まっていった経緯もある。
・今現在、三重県人教が働きかけ、教育委員会の高校教育課が三重県労働局に性別欄への斜線を求め、働きかけをしているところ。その動きの中で、すでに任意記入だから斜線をする必要があるのか、わざわざ斜線まで引かなくても、みんなで無記入という形でもっていけばいいのでは、などの意見が出ることが予想される。
〈統一応募用紙の性別欄に関する当事者や家族の意見〉
・三重県は条例があるので、その条例に則って訴えていけばいいのでは。
・三重県が先頭を切って変えていくのも、条例だけでなく、実際に理解され行動している県として思ってもらえるチャンス。
・性別欄があれば、書かなければ落とされるかもという不安の中で、仕方なく自認の性別ではなく戸籍の性別を書いてしまう子もいる。
・性別欄があることで、そこに自分の性別を書けない、だから就職をあきらめるという子が何人もいる。
・トランスジェンダーの子どもは、高校受験の時に性別欄に〇ができない苦しさから生きるか死ぬかのカミングアウトをしてきた。就職も生きるか死ぬかのレベルで追い込まれ、悩んでいる当事者が多い。
・性別欄削除は進路保障につながる。
・性別欄を削除して、就職の機会や人生をうばわれる人が何人いるか。救える子どもが増えるだけ。
・私は性別欄を見ただけで「うっ」となる。性別欄があるのに、書かないことで後で指摘されるのではという不安の中でそれを提出している現実がある。
・学校でも、業者のテストで性別欄に〇ができない苦しさから、その場にいられない、テストが受けられなくなる子がいる。それと同じだし、当事者にとってはそれぐらいしんどいこと。
・いろいろな意見が出る中、欄はあるけど、無記入を全員が選択していくという方法は、そうするための授業や取組が行われると思うが、当事者は、その授業や取組の中で少しでも理解のなさを感じたらとても苦しくなる。中途半端にではなく、その授業や取組が三重県内すべての高校で同じレベルで行われればいいが、そうでなければ、苦しさしかない。結果、子どもたちを強制的に無記入に仕向けていくものにもならないかという心配もある。
・マジョリティ側は、自分の権利が脅かされた瞬間に、マイノリティ側への攻撃性に変わる。この件でも、例えば、なんで性的マイノリティの人たちのために、性別欄を無記入にしなければならないんだという考えから、性的マイノリティへの攻撃性に変わることも0ではないと思う。だから、最初から斜線を引いてほしい。斜線を引かれた経緯から、または、斜線を引こうという動きがあることから子どもたちが学ぶというのは、とても大切なことだと思う。
・転職の時に、履歴書の性別欄には何も書かなかった。志望理由等のところで性別の違和感があることを書いた。それは、女性としてその職場で働くことが苦痛だったから、女性として働くことを求められる会社では働きたくないと思ったから。私は、そうじゃない会社はこちらから選ばないと思える選択肢があったからいいが、高校で就職する子にその選択肢がたくさんあるだろうか。みんな自認の性で働きたい、でも、それで応募側が会社を選べる状況にない子も多いはず。だとしたら、性別欄があれば、書くことそのものをあきらめるか、戸籍の性別を書くかどちらかになるだろう。
・自分の子どもは、治療もして見た目は男性だけど、履歴書には女性と書いた。しかし、面接にいった時点でトランスジェンダーだと伝えた。その会社の社長は理解してくれ、性別にとらわれず働けている。それができるのは、見た目が男性になっているからかもしれない。未治療等で見た目が自認の性には見えない場合は、同じようにできないことが多いと思う。かと言って、治療もして見た目が男性の子どもも、性別欄に「女」と書くことに苦痛をおぼえないわけではないと思う。