1月17日、第19回福岡ミーティングを開催しました。
午前中は、「LGBT当事者、そして家族として~当事者と家族の苦悩と変化~」
というテーマで 2組の親子にお話をしていただきました。
悩んだり、落ち込んだりしながらも、今、私たちの前で話してくださるようになった4人のみなさんのお話は、深く私たちの胸に届いてきました。
でもその一言ひと言に込められた思いを文字でお伝えすることはとても難しいことです。申し訳ありませんが、簡単にまとめて紹介させていただくことにしました。でも、参加した一人ひとりには、一言ひと言が明日への希望につながったと思います。
Aさん(FTM)
幼少時から自分に違和感を覚えながら過ごしていました。周りの目が気になり、女性になろうと頑張った時もあったが、それは、とても苦しいことでした。
最初に就職したところでは、男、女に区別され、働くのがつらくなり、退職せざるを得ませんでした。ありのままの自分を受け入れてくれる職場を探し、現在に至っています。職場では「個性的ね。」「あなたがあなたでいればいい。」と受け入れてくれ、日常でもLGBTについて話せるようになりました。悩みは減ることはないけれども、今は男性として充実した日々を送っています。
Aさんの母
小さい時から、男っぽい女の子だと思っていました。でも、カミングアウトをうけ、どうしたらいいか、誰に相談したらいいか、悩んでいるとき、『つなぐ会』に出会いました。母(Aさんの祖母)にも参加してもらい、学習していく中で、考えが変わり、今ではAの応援者のひとりとして頑張っています。
高校時代は、いつも不安を抱えていましたが、カミングアウトをうけてから、すっきりして、安心して見られるようになりました。Aは親を成長させてくれる存在です。
Bさん(MTF)
小学校の頃から、違和感を覚えていました。
大学生になり、自分は何者なのかと思い、未来のことを思い描くことができませんでした。でも、友だちが背中を押してくれ、少しずつ自分を受け入れていけるようになりました。自分がどう見られているか気になることはあるけれども、自分ができることから一歩一歩進んでいきたいと思っています。
Bさんの母
幼少時から、病気で何度も生死をさまよってきたので、今、生きていることに意味があると思っています。『つなぐ会』に出会い、勇気と希望を与えられました。カミングアウトを受けてからは、友人はもちろん、ご近所をはじめ地域の中で、子どものことを話し、LGBTに対する理解を広めていくようにしています。少しでも、今悩んでいる人の役に立てばと思って、色々なことに取り組んでいます。自分らしく生きていってほしいと思っています。
質問もたくさんありましたが、一つだけ紹介します。
「少しでも“生きづらさ”をなくすためにはどんなことが変わったらいいと思いますか。」
保育園、小学校で、男女に分ける場面が多くつらい思いをする。男女で分けない取り組みをしてほしい。プールの授業がとてもつらかったので、もっと工夫をしてほしい。カミングアウトできる社会であるためにも、小さいころからの教育が大切である。
LGBTについてもっと正しい認識を持ってもらいたい。多くの人が理解するようになると、もっと自分らしく生きていける。
また、戸籍を変えるための条件が厳しすぎる。もっとハードルを低くしてほしい。等々・・・切実な問題がたくさん出されました。一人ひとりができるところから取り組んでいけたらと思います。
午後のミーティングでは、初めて参加された方が9名もいて、いろいろな意見を交流することができました。
LGBT であることをポジティブに考えていくようにしようという意見がたくさん出されました。「なんで自分は…」「普通に生まれたかった。」と悩んできたが、友だちから「あなたにしかできないことがいっぱいある。」と言われ、前向きに考えるようになり、充実した人生を送ることができていると話してくださったCさん。その言葉に、勇気をもらい、少し前向きに考えていきたいという声も聞かれました。
今まで、LGBTの壁にぶつかり、LGBT の人しか受け入れられなかったが、今ではすべての人を受け入れられるようになった。「LGBT の人に対して○○をする。」ではなく、「一人の人間として何をしたいのか。」と考えるようになった。全ての人にそれぞれの状況に配慮して取り組むことが、LGBTの人たちにも生きやすい社会になるのではと思います。
最近、マスコミでLGBTについて報道されることが多くなったが、知っているつもりになっているだけで、本当に当事者の気持ちがわかっているのかと疑問に思うこともある。等、たくさんの意見が出されました。 初めて参加された方が、今までもやもやした思いを抱えていたけれども、やっと学べる場ができたと話されたのが印象的でした。
「またお会いしましょう。」と、笑顔で帰って行かれました。