![]() | 愛の続き (新潮クレスト・ブックス)イアン マキューアン新潮社このアイテムの詳細を見る |
先日、悪戦苦闘した『土曜日』と同じ作者の書いた『愛の続き』ですが、こちらは半日で読めました。あっちらこっちらと展開が遅い前者と違い、ぐいぐい読ませるストーリー。
愛は続く。一方的に、執拗に。永遠に。「ぼく」につきまとい、病的なまでに愛を乞う男。その男の存在すら信じず、「ぼく」の狂気を疑う彼女―。孤独と恐怖、強迫的な愛の織りなす奇妙な三角関係。
と端的な説明なんですが、ストーカー男は「ド・クレランボー症」という病気ではないのかと主人公は思うんですよね。実際に最後にはそう診断されているのですが、誰か読んだ方教えてください。この病気って本当にあるんですか…?
ストーリーは主人公の視点で語られるのですが、途中で恋人の視点や男の手紙(いわば男の視点)が入るために読者は主人公以外の視点も意識することができます。私は主人公がおかしいのでは?と思ってしまいました。日常のなかにある狂気、果たして正気なのはいったい誰か…。
ストーカー男をゲイとみる向きもありますが、ゲイではないようにも思えます。たまたま、彼が主人公を愛してしまっただけで。それも、病気のせい…。
巧みなイアン・マキューアンの心理描写にすっかりはまって読了。図書館にブッカー賞をとった『アムステルダム』を借りに行きましたが貸し出し中でした。残念。