
今年は全然行けていませんが、落語から文楽に興味を持ったように日舞から歌舞伎に興味を持ちました。やはり上方歌舞伎は文楽との違いなんかもあるし、と興味しんしんなわけです。
そこでこの会のことを知ってすぐさまチケットを買いに走りました。
当日は補助椅子も完売だったそうでたいへんな盛況ぶり。やはり芝居好きの方が多い印象です。

なんといっても、上村吉弥さんと上村純弥さんのホンモノの“歌舞伎の人”が落語をするのですよ。
最初はトークにでもではるんかしらとチケットを抑えていましたが、自分の判断にGJと言いたい!この会に会社をちょっぴり早く出てまで駆けつけて大正解。ええもんを見ました!
“ちょっと落語しました”なんてもんじゃありません。まるまる一段(!)すっくり省略なしで落語を一席!
よく言われるのですが、役者さんの落語は落語ではなく芝居(に感じる)。でも、お二人ともほんまに落語なんです。
かつて、狂言の茂山宗彦さんがドラマで下手な噺家の役なのに(ちりとてちんの小草若)高座のシーンで「落語という伝統芸能に失礼があってはいけない」と稽古しすぎて「もっと下手にやってくださーい」と監督さんに言われていたことを思い出しました(余談だけどその場に居合わせたワタクシ)。
伝統芸能の人がそれぞれの芸能をできるってのは根底に流れているものが同じ、似ているんでしょうねえ。
しかし、お二人とも違うのは噺の中での芝居部分の発声。所作よりも違いが大きかったのはその部分でした。
二葉さんの「雑俳」(二葉さんかわいい~、あの軽さがこの会の冒頭にぴったり)に続いて、純弥さん「蛸芝居」。最初から“きっちり”な落語に驚くとともに芝居部分でのこなれた動きにワクワク。しかし、さすがの役者さんでも一人でずっと演じ続けるのは大変ですよね。芝居では相手が喋っている間に呼吸を整えられるし。終わって頭を下げられた瞬間にほっとされたのではないでしょうか。
続いては関西の小劇団の方々が演じられる落語の芝居「淀五郎」。国木田かっぱさんが心の声という役、これがあると落語の世界が立体的に。聞いて想像していた部分が補完できたような感じでした。
中入りはさんで、吉弥さん「七段目」。マクラではご自身の中学時代の話を。まだこの時分には緊張が見受けられ、でも素に近い言葉でお話されるので歌舞伎ファンもなかなか新鮮だったのでは。落語に入ると純弥さんとは違った噺に対するしなやかさで展開していきます。そして、芝居の部分、一力茶屋のところは圧巻!まさに一人芝居!丁稚のお軽じゃない!でも、それでいい!だってだって美吉屋さんだもの!
あ、吉弥さんくすぐりで若旦那登場に「美吉屋!」を入れていて場内爆笑でした~。
ほんまにええもん見ました…。
九雀さんが、「本域でやったらあんなに長いんや」とおっしゃってました(笑)
で、最後が落語から芝居にもなった噺ということで「文七元結」を。この流れで聞くと芝居というか演劇的な要素を感じた一席でした。
大団円でお開き。