以下の記事は、2010年12月に書いたもので、「下書き」として残っていました。あれからもう7年、本当に時間の経つのが早いです。
先生がお好きな話なのだということで、今回の講座でも又伺いました。折角頑張って書いたものなので、アップしておきたいと思います。
===
先日習った『捜神記』巻三で、寿命十九歳と書かれている文書に筆を入れて九十歳にする、というくだり。
どのように筆を入れたのか気になって仕方がなかった。
原文は「取筆挑上」となっている。
先生の「上にかえって読むと九十・・・」という話を聞きながら、テキストの「十九」の「十」の下に「レ点」を何も考えずに書きいれた。
しばらくしてから、ふと気がついた!
日本の漢文訓読では返り点を施すけれど、中国では文章は書かれている通りに上から下に読むわけだから、訓読の符号など有るわけがない!
それでは「筆を取りて上に挑す」というのは、具体的にどのようにしたのか?
疑問が一度湧いてきたら気になって仕方がない!
ちょうど「ヲコト点」や「訓点」について調べていたので手元にある本を手当たり次第当たって見た。
犬も歩けば・・・ とは言うけれど、行動に移すと意外な手掛かりを得られるものだ。
『文字と古代日本1 支配と文字』(p358)に木簡の書き損じを訂正した方法が書かれていた。
[以下、抜粋]
「越前国江沼郡・・・」と書くべきところ誤って「越前国郡江沼・・・」と書いてしまい、これに気付いた木簡の筆者は、「沼」の右傍に転倒符を書き入れ「江沼郡」と読ませようとしたものである。
越前国の荷札木簡とは。なんとわが故郷のことではないか!
縁は異なもの!
で、又また調べてみると、「倒文」と言う言葉に行きついた。
倒文:原文の語句の文字の順序が転倒させられた誤り。線を入れて顛倒を訂正することを昔は「乙」と言ったので、「乙文」あるいは「倒乙」とも言う。
『漢語大詞典』を見ると、唐の韓愈の著書にこの「乙」の使用例があると分かった。
唐代に使用されていたことは分かっても、実際の書き込みを見ることはまず無理でしょうねぇ~~~
漢籍目録で調べて鈔本の影印をあたって確認はできないものかと先生に伺ったところ、実物を見ることは難しいかもしれませんね、とのこと。
「書誌学」の分野になるようで、ご専門外のことばかり伺って申し訳ないことです。
「書誌学」だったら昨年授業を受けていたから担当の先生に伺えたのに残念!
素人がすることだから、とてつもなく廻り道をしているんだろうなぁ~。
でも、ここまでわかったんだから実物見たいよねぇ~~~
これでも諦めずに探し続けるのが私のいいところ! というかしつこいところ?
窮すれば通ず!
あるブログを読んでいて目に飛び込んで来たのが「敦煌写本」!
これだ!
敦煌から出土した古い写本だったら見られるかもしれない!
又またネットサーフィン!
そしてこれまたビックリ、『勾道興撰捜神記』についての論文を見つけた!
敦煌から出た写本で重要文化財に指定されており、『中村不折旧蔵禹域墨書集成』に実寸大のカラー写真が載っているとのこと。
おまけに文字の修正が施されて、「貼り紙」「削り上書き」「上書き」などの方法が取られているとのこと。
「乙」があるかどうかはわからないけれど文字の修正が見られるし、ともかく『捜神記』だし、この本を見たい!
M大の図書館にあることがわかった!
普段はお尻が重く出不精なのにこういう時は敏捷になるんですねぇ~
もちろんM大に行って確かめて来た!
画像の準備に時間を少し戴こう!
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追記:倒文についての条は、『校勘学講義 中国古典文献の読み方』p216から引用
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先生がお好きな話なのだということで、今回の講座でも又伺いました。折角頑張って書いたものなので、アップしておきたいと思います。
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先日習った『捜神記』巻三で、寿命十九歳と書かれている文書に筆を入れて九十歳にする、というくだり。
どのように筆を入れたのか気になって仕方がなかった。
原文は「取筆挑上」となっている。
先生の「上にかえって読むと九十・・・」という話を聞きながら、テキストの「十九」の「十」の下に「レ点」を何も考えずに書きいれた。
しばらくしてから、ふと気がついた!
日本の漢文訓読では返り点を施すけれど、中国では文章は書かれている通りに上から下に読むわけだから、訓読の符号など有るわけがない!
それでは「筆を取りて上に挑す」というのは、具体的にどのようにしたのか?
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疑問が一度湧いてきたら気になって仕方がない!
ちょうど「ヲコト点」や「訓点」について調べていたので手元にある本を手当たり次第当たって見た。
犬も歩けば・・・ とは言うけれど、行動に移すと意外な手掛かりを得られるものだ。
『文字と古代日本1 支配と文字』(p358)に木簡の書き損じを訂正した方法が書かれていた。
[以下、抜粋]
「越前国江沼郡・・・」と書くべきところ誤って「越前国郡江沼・・・」と書いてしまい、これに気付いた木簡の筆者は、「沼」の右傍に転倒符を書き入れ「江沼郡」と読ませようとしたものである。
越前国の荷札木簡とは。なんとわが故郷のことではないか!
縁は異なもの!
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で、又また調べてみると、「倒文」と言う言葉に行きついた。
倒文:原文の語句の文字の順序が転倒させられた誤り。線を入れて顛倒を訂正することを昔は「乙」と言ったので、「乙文」あるいは「倒乙」とも言う。
『漢語大詞典』を見ると、唐の韓愈の著書にこの「乙」の使用例があると分かった。
唐代に使用されていたことは分かっても、実際の書き込みを見ることはまず無理でしょうねぇ~~~
漢籍目録で調べて鈔本の影印をあたって確認はできないものかと先生に伺ったところ、実物を見ることは難しいかもしれませんね、とのこと。
「書誌学」の分野になるようで、ご専門外のことばかり伺って申し訳ないことです。
「書誌学」だったら昨年授業を受けていたから担当の先生に伺えたのに残念!
素人がすることだから、とてつもなく廻り道をしているんだろうなぁ~。
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でも、ここまでわかったんだから実物見たいよねぇ~~~
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これでも諦めずに探し続けるのが私のいいところ! というかしつこいところ?
窮すれば通ず!
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あるブログを読んでいて目に飛び込んで来たのが「敦煌写本」!
これだ!
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敦煌から出土した古い写本だったら見られるかもしれない!
又またネットサーフィン!
そしてこれまたビックリ、『勾道興撰捜神記』についての論文を見つけた!
敦煌から出た写本で重要文化財に指定されており、『中村不折旧蔵禹域墨書集成』に実寸大のカラー写真が載っているとのこと。
おまけに文字の修正が施されて、「貼り紙」「削り上書き」「上書き」などの方法が取られているとのこと。
「乙」があるかどうかはわからないけれど文字の修正が見られるし、ともかく『捜神記』だし、この本を見たい!
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M大の図書館にあることがわかった!
普段はお尻が重く出不精なのにこういう時は敏捷になるんですねぇ~
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もちろんM大に行って確かめて来た!
画像の準備に時間を少し戴こう!
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追記:倒文についての条は、『校勘学講義 中国古典文献の読み方』p216から引用
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