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久々に古語辞典の揃い踏みです。
以前は5種だったのですが、今はここまでに・・・
多分、もうこれ以上はおき場所もないので増えることは無いと思いますが・・・
でも、『時代別国語大辞典 上代編』だけは欲しい~~~
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さて、「校譌並異体字辨」ですが、画像の左側から3冊目の「索引編」に含まれています。
解題によりますと、狩谷エキ斎が最も力を注いだ部分のようですが、印刷時の煩雑さのゆえに『箋注倭名類聚抄』の出版時(没後)に省かれた、とあります。
「春」については、「夜太加良須(原本はサンズイ)」として大字で項目が立てられ、その小書き双行の説明に書かれていました。
口語訳(管理人訳、怪しいかな?)してみますと、
もと「須」は「酒」に作り、山田本・曲直瀬本は「春」、尾張本は欠いている。諸本通篇に仮名に「酒・春」を用いているものは無いので、昌平本・下総本に従って改めた。廣本はまた「須」に作る。
となっています。
エキ斎は「春」は伝本による誤りと考えたわけですね。残念!
「諸本通篇」とありますが、これはエキ斎が『倭名抄』研究の際に採った以下の7種の本のことだろうと推測します。
(1) 京本:京都の公卿の家に伝わったもの
(2) 又一本:上が山田以文、中・下が福井崇欄館の許に伝わった三冊本
(3) 尾張本:巻一・二の零本であるが、現に真福寺室生院に伝存し、十巻本として現存最古のもの
(4) 伊勢本:巻一・二・九・十を欠く零本で、現に神宮文庫に現存している。
(5) 昌平本:昌平坂学問所に蔵せられた、巻七を欠く零本
(6) 曲直瀬本:幕医曲直瀬家に伝わった、巻五以下を欠く零本
(7) 下総本:他と趣を異にして十巻の内容を五冊に併せており、本文も他本による改変が著しく、エキ斎は、諸本中最下のものとしている。下総国の醤油屋木村満晴の蔵本で、各巻末に天文十五年の識語~(中略)があることから天文本とも呼ばれる。これの転写本は現在数部伝わっているが、別にこれの中国において刊行せられたものがある。この「索引」に収めた「光緒丙午中国楊守敬刊本」と称するものがそれで~(以下略)
なお、濱田敦氏は、『諸本集成 倭名類聚抄』のはしがきに「光緒丙午中国楊守敬刊本」について「和名抄の一本として、いささか珍本に属する、光緒三十二年、楊守敬が中国において校刊した本文を、大阪市立大学新村文庫に蔵せられるものによって、影印した。」と記しています。
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