ピエタ教会の写真を探したら、運河をはさんだ向かいの
「サン ジョルジョ マッジョーレ教会」の鐘楼から撮った1枚がありました。
↑はその写真の一部を切り抜いたものですが、
物語の主人公「チェチーリア」が見ていたVeneziaは、きっとこの反対側の景色。
でも この本の中のVeneziaは とても小さいのです。
ピエタ教会の前は「スキアヴォーニ河岸」、
サンマルコ寺院から映画「ツーリスト」にも登場したアルセナーレまで
続く私のお気に入りの場所のひとつです。
教会周辺の写真を織り交ぜて、Tiziano Scarpa著「STABATO MATER」を
ご紹介しましょう。
物語は孤児の少女チェチーリアが 母に宛てて書く手紙から始まります。
「Signora Madre・・・」の呼びかけからいつも始まるチェチーリアの手紙。
ピエタ養育院での日常生活や音楽の話、
そして幼いときの忘れられない記憶からくる妄想や嘆きが、
私には重く、溜息が何度も出たことを覚えています。
その手紙をしたためるために、彼女は夜になると 養育院の秘密の隠れ場所に
こっそり出かけるのです。
まだ見ぬ母に自分の想いを伝えるために。
おっと、これから先は邦訳本の帯にある文章をそのまま掲載します。
「ヴィヴァルディと天才少女との葛藤。語られる『四季』秘話。」
18世紀ヴェネツィア。赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリアは、
卓越した音楽的才能の持ち主だった。新任の音楽教師アントニオは
彼女の優れた才能をすぐに見抜くが、同時に激しい嫉妬にかられる。
ーーーーー謎の多いヴィヴァルディの生涯の一時期を、養育院で孤独に暮らす
少女の目から描き、イタリア最高の文学賞に輝いた話題作。
↑隣接するホテル「メトロポール」の有名リストランテ「MET」。
なるほど!帯の文章って映画の予告編みたいに、ワクワクさせてくれますね。
ま、その通りなのですが、私が「母」であるからか、
チェチリアの葛藤や訴えがずしんと胸に迫ってくるのです。
↑ お昼「MET」の料理が軽くいただける「メトロポール」のバール。
彼女の世界は養育院と仮面をつけて演奏に行くVeneziaのほんの一部です。
とても小さく、まるで仮面の中から見る舞台の幕裏のよう。
著者のあとがきにもあるのですが、、近年 ヴィヴァルディをめぐる歴史小説が
イタリアや外国の作家により数多く書かれているそうです。
日本では「ピエタ」(大島真須美著)がそうかな?
実はこの本も読んでみたいと思っています。
それからYou TubeでBBC制作のドキュメンタリーを見つけました。
1時間弱と長いのですが、ピエタ教会の内部やあまり知られていないVeneziaも
登場し、「STABATO MATER」の背景がわかると思います。
ぜひぜひ。