ドイツ在勤中、落語家さんとお付き合いする機会が何回かあったが、食事を一緒にした時の彼らの話はとても面白く、ためになることが多かった。
その中で、春風亭柳橋師匠(故人)から聞いたたった一言で暇に出された前座の話を紹介すると。。。。
寄席では、前座、二つ目、真打という順番で落語を披露することになるが、当然楽屋入りもその順番となる。楽屋ではお寿司等が用意されており、それをつまんでから舞台に立つことになるが、ある時、前座の一人がお寿司をつまんでいる時に、真打が楽屋に入ってきた。前座は気を使ったつもりで、真打に対し、「師匠、お寿司が残っていますから、どうぞ召し上がってください。」と言ってしまった。その前座は翌日から暇に出されたそうである。
要するに、このお寿司が残り物という印象を与えてしまったことが敗因であった。厳しい上下関係のある落語界で、残り物を真打に提供するなどありえないのである。ちゃんとした前座であれば、こう言わなければならない。「師匠、お寿司がとってありますので、どうぞ召し上がってください。」
なるほどと感心することしばし。。。ものの言い方ひとつで受ける印象が全く違ってくるのである。その話を聞いてから、どんな残り物でも人に勧める時は、「とっておきましたから、どうぞ」と言うことにしている。
皆さんも、たとえ残り物でも人に勧める時は、ものは言いようなので、必ず「とっておきましたので、よかったらどうぞ」と言ってみてください。好感度アップ間違いなしです。