2年に一度の世界陸上に先立ち、世界陸連の総会が開催され、ルールの改定や役員の選挙等重要事項が決定される。この総会には、現役時代、通訳として5回出席したことがあるが、214ヵ国の代表が一堂に会するため、物凄い規模の会議で圧倒される。競技規則の変更もこの総会で決定されるから、大変重要な会議である。また、4年に1回は世界陸連の役員の選挙も行なわれるので、ピリピリした雰囲気が繰り広げられる。今回のブダペストでの総会は、197ヵ国が参加し、役員選挙も行われたようで、各社の新聞で、日本から日本陸連副会長の有森裕子さん(元マラソン選手)が世界陸連の理事に当選したとの嬉しいニュースが報道されていた。
従来から、日本は主要国のひとつとして、世界陸連に1名の理事を送り込んでいたが、今回、有森さんが立候補していたようで、若手役員として見事当選したことは大変喜ばしいことである。世界各国から23名が立候補し、13名が当選したが、彼女は166票獲得しトップ当選したとのことで、素晴らしい快挙である。選挙のある総会は、票集めのロビー活動も頻繁に行われていて、雰囲気がピリピリしているが、3回ほどその雰囲気を味わったことがある。現役時代、有森さんは世界陸連の女性委員会のメンバーであったので、一緒に仕事をさせてもらったことがあるが、誰もがイメージを持つ聡明で素敵な女性である。今度は理事(カウンシルメンバー)という要職なので、大変だとは思うが頑張ってほしいと願っている。また、彼女はアジア陸連のカウンシルメンバーにもなっているとのことでアジア、世界の舞台での活躍が期待される。
2025年には、東京で世界陸上が開催されるし、世界陸上のスポンサーも多くが日本企業であるから、日本は大変重要な立ち位置にあることは間違いない。今回のブダペスト大会のゼッケンスポンサーも男子がTDK、女子がNTN(ベアリングの製造企業)とともに日本企業であることからもよくわかる。次の世界陸上が東京開催ということなので、彼女への期待も大きいものと思われる。
日刊スポーツ(8/18):