「歎異抄」とは、鎌倉時代後期に書かれた仏教書で、作者は親鸞に師事した唯円とされている。親鸞の死後、教団内に沸き上がった親鸞の教えに反する意義・異端を嘆いたもので、その名がついている。歎異抄は世界で一番読まれている仏教書といえるが、「カミソリ聖教」と呼ばれるほど危険な読み物でもある。他力信心と親鸞聖人の教えをよく理解している人が読まないと、とんでもない読み違いをする恐れがあることから、15世紀の室町時代の僧であった蓮如上人が封印し、明治時代後期に解禁されるまで、約500年の間封印されていたので、世の中には知られていなかった。
歎異抄はまさに長い間封印されていた仏教書であるが、司馬遼太郎は、「無人島に一冊だけ持っていくとしたら歎異抄だ」と言い切って絶賛している。他にも、
「一切の書物を焼失しても『歎異抄』が残れば我慢できる。」 (西田幾多郎 哲学者)
「もし十年前にこんな素晴らしい聖者が東洋にあったことを知ったら、自分はギリシャ・ラテン語の勉強もしなかった。日本語を学び聖者の話を聞いて、世界中にひろめることを生きがいにしたであろう。」 (ハイデッガー ドイツ哲学者)
「現代のアジアにあって、宗教芸術作品のうちでもこれ以上に純粋なものを私は知らない。」 (ロマン・ロラン フランス作家)
「親鸞聖人に初めから非常な思想があり、非常な力があり非常な強い根底のある思想を持たなければ、あれ程の大改革はできない。 (夏目漱石)
「トルストイの如きは日本の、法然や、親鸞の宗教を知ったら、誰よりも先きに随喜する人ではなかったかと思うのだ。 (倉田百三 評論家)
「人類が、今日ほど、親鸞聖人を必要としている秋はない。」 (井上靖 作家)
「ルーテル、ウェスレー、ムーディーに対するよりも、源信、法然、親鸞に対しより近く感ずるは止むを得ない。」 (内村鑑三 文学者)
「親鸞を語ることは私にとって、人生を語るに等しい。私のまず最初に言うべきことは、親鸞に出会ったという、その謝念でなければならぬ。」 (亀井勝一郎 評論家)
歎異抄は、1章~10章 親鸞の言葉 11章~18章 異議解説という構成になっている。歎異抄に関する書籍は過去に多数出版されているが、高森顕徹氏が2008年にわかりやすく解説した「歎異抄をひらく」を出版してからは、それにまさるものは書けないとして、ほとんど出版されていないようである。この本は2019年にアニメ映画化され、3回ほど鑑賞した。本の方は、図書館で借りて少しかじってみたが、わかりやすいといっても初心者にとってはむずかしい。2021年12月に、素人の初心者向けに「歎異抄ってなんだろう」という本も出版されたので、これは買って読んでみようと思っている。
仏教に学ぶ幸福論「無人島に一冊だけ持っていくとしたら歎異抄だ」(2/28): https://youtu.be/DbPyp6JebXc
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