GABACHOP〜あがんにゃな日々〜

趣味について、日記がてら。

アストロ球団

2006年01月09日 | マンガ

 突然吹き荒れたマイブーム。それは約30年前に週刊少年ジャンプで連載されていた野球漫画『アストロ球団』(中島徳博・全20巻)です。過去名作と呼ばれた野球漫画は数多くあるけど、この作品に並ぶインパクトを味わえる物出会えていません。

 簡単にあらすじを説明します。昭和29年9月9日に生まれ、体のどこかにボールのあざを持つ超人9人が集まり、その類まれなる能力で日本球界制覇ならびに打倒大リーグを目指すというもの。彼らの信条“一試合完全燃焼”の旗の下、全20巻で3試合という、ドカベンも真っ青な濃密な激闘が繰り広げられます。

 また、相手をつとめる面々も恐ろしく濃ゆいエキスを発散しまくりです。ジャイアンツに捨てられた選手やその子息らで結成された復讐集団“ブラック球団”。腐敗した世の中を破壊し新しい世界の創造に燃える“ビクトリー球団”。そして“金やん”こと金田正一率いるロッテオリオンズ。…え?

 連載を始めるまで野球をほとんど知らなかった作者が、「読者の想像を裏切りたい」との一心で生み出したアイディアの数々も、正直従来の概念をぶち破ること甚だしいです。


○巨大な弟に投げられてホームランを阻止する軽量の兄。

○回転するドリルを握り、手を傷つけることで魔球を編み出す主人公。

○その因縁から殺しあう、拳法家の兄と、元レーサーで盲目美少年の弟。

○ビーンボールで敵を葬る事に至上の喜びを感じる元特攻隊の生き残り。

○燃え尽きて瞬時に老化するピッチャー。

○ホームランと引き換えに、全身から血を噴出して絶命するオカマ。

○一塁線上に飛び上がり、次々とランナーに襲い掛かる超人守備。


集英社 JUMP REMIX『アストロ球団』より。



 この新しすぎる設定の数々が、30年も前に繰り広げられていた事に感動を禁じえません。

 正直、はじめて読むと、そのバカさ加減に大笑い間違いなしです。しかし繰り返し読むごとに、胸の中に熱いものが渦巻くのを感じ、彼らのように完全燃焼できているのか、と強く自問自答する己に気がつくこと必死です。

 以下、魂のセリフ集。


「不可能なんてえのは自分の可能性に最初から一線ひいてる奴らの言うセリフでえ!」
明智球七。アキレス腱を切った足で全力疾走後のセリフ。

「とるとらねえは問題じゃねえーっ!!とろうとする意思表示が、あいつらの自信にいくらかでもクサビをうちこむことになるんでーっ!!」
明智球七。場外ホームランをジャンピングキャッチしようとして。

「やってみるものだな!」
J・シュウロ。死んだ伊集院球三郎をヘリコプターから落下させ蘇生に成功した時のセリフ。

「その薄汚れたいやしい血をすべて流しつくして成仏せえ~~~っ!」
伊集院大門。弟球三郎との対決の時のセリフ。野球なのに。

「自分の力量でしかものごとをはかれぬあわれなやつめ!むしずが走るわ!!」
伊集院大門。上司に理不尽に叱られたときなどに言ってみたい。


 ある者はアキレス腱が切れれば側転で走塁をし、ある者は全身の複雑骨折をギブスで固めて戦線に復帰する。彼らはなぜそこまでするのでしょうか。

 あるものは言います。「理想に燃えながらも目的を失いふみまよっている反逆者たちのエネルギーを統一し、腐敗堕落しきった社会を破壊し新しい社会をつくる」ためだと。

 どこでどう間違えればその手段が「野球」になるのか正直疑問ですが、ともあれたかが野球といえども、彼らにとっては十分命をかけるに値するのです。長期休場の多い今のプロ野球選手にも見習ってほしいものです(無茶)。

 そして時は流れて2005年。約30年の時を経て『アストロ球団』は実写ドラマ化された。顔中の血管から血を噴出しながら生涯最後の一球を投げるデビット伊藤なんか、すごく必見です。

http://www.tv-asahi.co.jp/astro/


 なお、誰がどこからどう書いても漢(おとこ)臭ムンムンなレビューしか書けないこの作品だけれど、なにげに美少年や美形キャラが多く登場し、少年ジャンプに数多くの女性ファンを連れて来た作品として知られています。

 現在復刻版が、太田出版より全5巻(1冊1,900円)にて発売中。


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