そんなこんなで念願の『筋肉少女帯復活ライブ』を見ました。
真夜中に取り付けた“アンテナ”で、最初に受信したのが筋肉少女帯のライブとういうのも、彼等の歌をよく知っている人なら思わずニヤリとしてしまいそうなシチュエーションではあります。もっとも当の本人は筋肉痛でそれどころじゃないのですが。
一曲目の『トゥルーロマンス』からはじまり、『元祖高木ブー伝説』『踊るダメ人間』『日本印度化計画』などの往年のヒット曲はもちろん、『ぐるぐる少女』『暴いておやりよドルバッキー』『僕の宗教にようこそ』『イワンのバカ』『戦え!何を!?人生を!』『愛のためいき』『少女の王国』『これでいいのだ』『機械』『少年、グリグリメガネを拾う』『釈迦』と、要はファン涙もののラインナップでした。
実に8年ぶりの復活。無論各人着実に年を重ねているわけで、平均年齢は40歳をゆうに越えています。四十路だよ四十路。自分の周囲にいる四十路を思い浮かべてください。なんか、こう、頑張ってるしすごいし尊敬できるんだけどなりたくはないよな~、そんな中年ばかりじゃないか?(そうでもないか?)
そんな既成概念を蹴り飛ばされた気がしました。ひとつとして古臭さのかけらすら感じさせない曲の数々。中には80年代の曲すらあるというのに、この新しさはなんだろう。
大槻ケンヂの「上手下手」を超越した歌唱力と、その歌詞のド忘れっぷりには、もはやある種の様式美すら感じられました。
40代3人の子持ちとは思えないビジュアル系ファッションに身を包んだ橘高文彦のギターのすさまじさも相変わらず。指の動きに目がついていかないというか、人間の指の動きじゃねえよなー、と。ソロの時にきっちり手元のアップが抜かれたあたり、NHKスタッフもよくわかってるじゃん、と感動しました。
ベースの内田雄一郎の低音ボイスもとても冴えていた。年齢を重ねたことでナチュラルに低音の深みが増したのかも(おい)。
もうひとりのギター本城聡章も、おいしいところは橘高に譲りつつも、存在感は相変わらず。橘高、内田の3人による「戦え!」「何を!?」「人生を!」の連呼は正直鳥肌たちました。
サポートキーボードにして、初代筋肉少女帯メンバー三柴理の演奏も素晴らしかった。中でも橘高のギターとのセッションは感動物。このふたり、ピアノとギターで日本人の5指に確実に入る、というのはファンの勝手な思い込みでしょうか。だって他のバンドのそれとは、(客観的に聴いても)違いが歴然としているんだもん(素人耳で)。
サポートドラム、陰陽座の斗羅も違和感なく大田明の代役をこなしていました。
まさに6者6様。ひとりとして同じタイプ、同じ音楽性を持つものがいないのに、それがなぜか集結し、化学変化を起こして他にはないバンドとなっています。江戸川乱歩と高橋葉介とアントニオ猪木を足して赤塚不二夫で割ったような歌詞が、それぞれの分野で屈指の演者によって、素人でもそれとわかる極上の演奏となって、ボーカルの(いろんな意味で)冷や冷やものの歌唱とあいまり紡ぎ出される。
こんなの見せられたら、流行ソングなんてとても手が出せないよ!
そもそも僕は筋肉少女帯の曲や音楽が好きなのであって、メンバーに思い入れとかファン的要素とかは一切ないのだけど、やはり8年という歳月にはかなり待たされました。ファンになるのが遅かったため、会場ではもちろん、映像ですらリアルタイムでライブを見たことがなかった僕の半生。筋肉少女帯の曲に惚れて11年、ようやく念願が叶った気がしました。