ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ボージョレヌーボー

2011年03月20日 | 飲食:飲物・嗜好品

 初物を初体験

 もう既に時効だと思うので白状するが、昔私は、密造酒を造ったことがある。個人で酒を造って、個人で楽しむことは、現在では法に触れることでは無いと思うが、私が学生の頃は犯罪であった。酒造法違反ということになったのである。
 米を蒸して、米麹と混ぜて、水に浸して醗酵させる。1週間ほども経つと部屋の中に酒の甘い匂いが立ち込める。どぶろくが出来上がったのである。匂いだけでも十分に満足するのであるが、どぶろくを掬って飲む。美味い!
 当時、美味い酒というのがあまり無かった。市販の、有名どころである大手酒造所の酒はどれも半端モノの酒であった。日本酒は甘ったるく、美味いと言える酒では無かった。酒が手につくとベタベタし、口の中もベタベタした。砂糖が入っているのである。

 戦争中(第二次世界大戦)、物資不足から日本酒がそれまでと変わった。普通に米で作った酒だけでは需要がまかなえず、その酒に醸造アルコールを混ぜ、その辛さを中和するために糖類を混ぜたのである。また、これは確かでは無いが、味を調えるために化学調味料を加えているということも聞いた。それが、戦争が終わってもずっと続いたのである。今でもそのような酒はある。瓶に書かれてある成分表を見てみるといい。そこには、米、米麹の他に、醸造用アルコール、酸味料、糖類などと書かれている。
 私が作った酒はもちろん、米と米麹だけの酒。これは美味かった。そして、私が密造酒作りをしていた頃から、巷でも純米酒とかいう酒が目に付くようになって、それは私の密造酒よりも概ね旨くて、で、私は日本酒好きになっていったのである。

  今年、私は初物を初体験した。酒は日本酒を好むが、泡盛も焼酎もウイスキーも何でも好きである。日常飲んでいる酒でもっとも多いのは泡盛であるが、その次に多いのは、実は日本酒でなく、ワインである。日本酒は値段の高いものを飲み、肴もある程度手間をかけている。その分、飲む機会が少なくなる。ワインは、たいていは安いもので、肴に手間をかけないことが多い。チーズとハムとサラダだけで済ませたりする。
 今年、私は初めてボージョレヌーボーなるものを飲んだ。1800円ほどのものであったが、それでも、いつも飲んでいるものの倍以上はする。久しぶりに、あーワインを飲んだなあという気分。美味しかった。流行りモノは嫌いなのであるが、これくらい美味ければ、来年からは毎年飲んでもいいかなー、などと思ったのであった。
      
 記:ガジ丸 2005.12.19 →沖縄の飲食目次


島麦酒

2011年03月20日 | 飲食:飲物・嗜好品

 島麦酒

 友人のHが、同級生の友人の中ではもっとも早く爺さんになることとなった。彼の長女が妊娠したのであった。結婚もせぬ内から妊娠6ヶ月というそのふしだらを祝うために、先週土曜日(12月17日)、Hの家で飲み会をやった。
 飲み会は急な話であったのと、連絡網の不備があって、その夜集まったのは3人。娘とは彼女が生まれた時から親しくしている私と、その次に親しくしている整体師のS、同級生に早や孫ができるというのに、まだ独身のまま(私もそうであるが)でいるK。
  SもKも娘が妊娠していることを知らない。じつは、私とK以外にも独身オジサン2人に声をかけていた。独身オジサンを集めて、同級生の子供に子供ができるというショックを与えてやろうというHの魂胆なのであった。「頑張れよ」という意味を込めて。
 その夜、ふしだら娘の口からもう一つの報告があった。「一週間前から姓が変わりました」とのこと。ふしだらからの脱却を果たしたわけである。彼女と結婚した相手は、もちろん、彼女のお腹の子の父親でもある。私も何度か会っている。背の高い(180センチくらい)、カッコイイ今時の若者である。仕事もしかっりしている。金持ちでは無いことを除けば申し分の無い相手である。まあ、とにかく、めでたい飲み会となった。
      
  沖縄の12月にしては、記録的な寒さの夜であった。酒は泡盛のお湯割りか日本酒が適していて、ビールなんてお呼びじゃなかったのであるが、私はビールを持参した。選んだビールは島麦酒、倭人にも馴染みのある「オジー自慢の」オリオンビールとした。Hがオジー(爺さん)になるのである。Hの自慢の娘である。さらに、オリオンビールの中でも季節限定商品である「一番桜」という銘柄を選んだ。友人たちの中では一番目の孫が生まれてくるのである。ずっと待ち望んでいた桜の花が咲くような気分なのである。
 めでたい席にもっともふさわしい島麦酒で乾杯し、飲み会は楽しく進んで、楽しく終わった。もう、すぐにそれと判る大きなお腹を、オジサンたちに大いに祝福されて、きっと生まれてくる子は「オジー自慢の」元気な孫であろうと確信するのであった。
      
 記:ガジ丸 2005.12.19 →沖縄の飲食目次


自家製コーヒー

2011年03月20日 | 飲食:飲物・嗜好品

 ブレンドコーヒー

 もう二ヶ月以上も前から、職場のコーヒーの木にたわわに実った果実が赤く色づき始めていた。赤くなると収穫時期であるということを、親がブラジル帰りだという友人のIさんやKさんに聞いて、私は知っていた。が、仕事が忙しく、収穫できずにいた。
 先々週、やっと両手の平いっぱいほどの果実を収穫する。収穫した果実は赤く熟したものだけでなく、さらに進んで黒く乾燥したものまであった。赤い色、深い赤色、黒い色のものを一緒くたにして水に漬ける。水に漬けて果肉をふやかして、種から剥ぎやすくするのである。3昼夜水に漬けて置いた。
 じつは、コーヒーの果実を収穫して、それをいかなる手順でもってコーヒー豆にするかの詳しい知識を私は持っていない。皮と果肉を剥ぎ取って、種を取り出し、それを乾燥させて、焦げ茶色、つまりコーヒー色になるまで炒るという大雑把なことしか知らない。それでも、何とかなるさと挑戦してみたのである。

 3昼夜水に漬けた果実を1つ1つ手作業で、その果肉を剥き取り、種だけを取り出す。種には色の濃いもの薄いものいろいろあった。おそらく果実の時に赤い色、深い赤色、黒い色だったものがそれぞれ、違った色の濃さになっているのだろう。果実もそうであったが、種もまた、水に浮くもの沈むものがあって、それも収穫したときの熟し具合によって違ったのであろう。たぶん、熟し具合の進んでいない種だと思うが、それには薄い、透明のヌルヌルしたものがついており、それもまた丹念に洗い流す。
 乾燥は、天日干しでなく陰干しにした。そうすることの根拠は無かった。外に出して天日干しするとゴミがつくからという理由からであった。乾燥日数は1週間とした。
 先週土曜日が1週間目、翌日曜日に、いよいよ炒る。フライパンを使う。色の濃いもの薄いもの一緒に炒る。10分後には焼き大豆のような色になる。30分後には黒くなる種も出始めた。しかし、ほとんど白いままの種も多く残っていた。たぶん、乾燥の中途半端なものとよく乾燥したもので、焼き色の違いが出たのであろう。1週間では乾燥時間が短かったか、やはり天日干しにしなければならなかったのかと少し後悔する。結局、50分ほど炒って終了。最初の果実同様、出来上がりの色も分かれた。焦げ色の濃いもの薄いものがさまざま混ざり合ったコーヒー豆となってしまった。

  翌日、豆をミルで挽く。粉になったコーヒー豆は、焦げ具合の濃いもの薄いものを混ぜた、いわば、ブレンドコーヒーなのである。全体にはよく見るコーヒー色となっていた。そして、味はまったく期待していなかったのだが、もしかしたら、あんまり不味くて、吐き出してしまうんじゃないかなどとまで思っていたのだが、期待の無い分、まあまあ美味かった。酸味はほとんど無く、苦味も薄い。少し甘ささえ感じる。焦げの匂いが少しするが、さほど気にならない。良くない点は、パンチが無いこと。「俺はコーヒーだ」という主張があまり無い。ちょっと弱々しい味のコーヒーの出来上がりとなった。 
 日曜日に炒って、豆はザルに入れたまま、台所の棚の上に置いていた。炒っている途中からコーヒーの匂いはしていたが、冷えるにつれてその匂いは強くなっていった。月曜日の朝は、コーヒーの良い香りが部屋いっぱいに漂っており、良い目覚めとなった。 
      
      
      
      
      
      
      
      
      
      
      
      
 記:ガジ丸 2005.12.6 →沖縄の飲食目次


ゴレンシ

2011年03月20日 | 飲食:果物・菓子

 スターの果物

 2、30m離れたところで、一人の農夫が果物の収穫作業をしている。
 「おじさーん、それ、何ていう果物ですかー?」と大きな声で訊く。農夫は手を休め、面倒臭そうな顔をしながらも大きな声で答える。
 「ゴレンシじゃー」と言ったのであるが、若いカップルには間違って伝わった。
 「ゴレンジャーだってよ。面白いね。実の色が赤とか黄とか青とか5色揃ってでもいるのかなー。お土産に買っていこうか。」ということになり、大きなスーパーへ寄って、食品売り場を回る。が、ゴレンジャーは無い。で、レジに行って訊く。
 「ゴレンジャーは置いてありませんか?」
 「ゴレンジャーなら2階のおもちゃ売り場だと思いますよ」とレジの人は答える。
 「いえ、おもちゃじゃなく、果物のゴレンジャーのことです。」
 「果物?ゴレンジャー?・・・何ですかそれ。」
 「果樹園で収穫作業をしているオジサンがそう言ったのですが・・・。」
  「今、収穫ですか。・・・あっ、もしかしてゴレンシのことじゃないですか、別名をスターフルーツと言いますが、たぶん、そのことだと思いますよ。」
 「スターフルーツ?ゴレンジャーが子供のスターだからということ?」
 「いや、ゴレンジャーじゃ無くて、ゴレンシって言うんです。切った断面が星型をしているから別名をスターフルーツって言うんです。」
などという話が、いつかどこかであったかもしれないスターの果物、ゴレンシ。
      
 先日、仕事で今帰仁村へ行ったその帰り、名護 市許田にある「道の駅」へ寄った。農産物の販売コーナーにゴレンシが並んでいた。近所のスーパーでも時期になるとちょくちょく見かける果物である。が、私はまだ食ったことがない。美味しいという噂を聞いたことが無かったからである。周りに食った経験のある人が少なかったのかもしれない。
 熱帯果樹なので国内では沖縄でしか産しないだろう。ガジ丸HPで紹介すべく、1個買う。10センチほどの長さのもので124円。それが高いのか安いのか食べる前から判断はできないが、まあ、自動販売機の、体に悪い清涼飲料水が110円することを思えば、自然の恵みがその値段なら、結果、多少不味くたって惜しくは無かろう。
 レジの人に食べ方を聞く。稜線の硬いところを少し削るだけで、皮ごと食えるとのことであった。で、その通りにし、食う。齧ると、果汁が口の中に広がった。汁気の多さはスイカに近い。食感はちょっと柔らかめの梨、味はちょっと酸っぱい梨といった感じ。皮の方に僅かな苦味を感じるが、さほど気になることは無い。 
      
 →記事(植物としてのゴレンシ)

 記:ガジ丸 2005.12.4 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


アテモヤ

2011年03月20日 | 飲食:果物・菓子

 もっとアイスクリーム

 職場のカキノキの実を2個もいで、1週間経って少し柔らかくなった先週土曜日(11月5日)の朝、朝食後のデザートにした。職場のカキは渋かった。死ぬほど。
      
  前に、「アク抜きしない筍を食ったら、死ぬほど渋かった。」という話を、確か沖縄の飲食「ソーキ汁」だったかで書いたが、今回はカキの渋さを味わった。写真を見れば分ると思うが、もしかしたら渋柿かもと不安があったので、ほんの少し齧っただけ。ほんの少しでもその渋さは強烈だった。テレビ番組の「笑っていいとも」で、罰ゲームに苦い汁を飲ませたりするのがあるが、渋柿を一口、噛んで飲み込むという罰ゲームの方が、より激しいリアクションとなるであろう。渋さは口の中に長く残る。

 舌に残る渋さを消すために何か甘く、美味しいも のを食わなければならない。実は、運良く、その時の私には心強い味方があった。数日前に、近所のスーパーで買って置いた別の果物である。りんご大で1個500円するこの果物は、熊本民謡を歌いながら食う。
 「アテモヤーン、あんたこの頃嫁入りしたではないかいな。嫁入りしたこたぁしたばってん・・・」などと口ずさみながら食う。なぜなら、名前をアテモヤと言う。
 アテモヤはバンレイシとチェリモヤの交配種で、最近から出回るようになった果物。値段が高いこともあって、私も滅多に口にしない。今回は、一年 以上も前に食って以来の二度目の経験。クリーム状の果肉はたいへん甘く、香りも高い。よく熟したものは口の中でとろける感じだと話には聞いている。冷やして食えばアイスクリームそのものであるとも聞いている。渋柿の渋を消すには最適のものであろう。
      
 前回食べたときは熟し方が少し足りなかったようで、甘みはあったが、とろけるというほどの食感では無かった。で、今回は数日前に買ったものを、ずっと冷蔵庫に寝かしてあったのだ。表面が少し黒くなっているので、もう十分に熟していよう。食っ た。ところがだ、今度もとろけない。なおかつ、前回に比べて甘みもずっと少ない。後日調べたところによると、アテモヤは、低温では何日置いても熟さないようだ。常温で数日置き、握って柔らかくなったら食べ頃とのこと。そうなってから冷蔵庫で冷やせばアイスクリームのようになるとのことであった。500円もしたのにと何だか悔しい気分。なわけで、シマバナナよりも、もっとアイスクリームな果物の体験談は、しばらく延期となる。
      
      
 後日、熟したものを食べた。
      
      
 なお、バンレイシ(シャカトウとも言う)やチェリモヤ、及びアテモヤなどの植物としての詳しい話は、いずれ別項で述べる予定。 

 記:ガジ丸 2005.11.16 →沖縄の飲食目次