ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

沖縄の餅

2011年03月25日 | 飲食:果物・菓子

 面倒臭がり屋の餅

 4年制大学を卒業するのに私は5年かけたが、その5年間で住まいは4回変った。微々たる距離ではあるが、故郷沖縄へ少しずつ近づくかのように吉祥寺から、武蔵境、東小金井、西国分寺へと流れていった。武蔵境と東小金井での生活のうち約1年は、姉とその恋人との三人暮らしであったが、それ以外はずっと一人暮らし、恋人もいないままの淋しい独り暮らしであった。「淋しい」は「恋人もいない」に掛かり、「独り暮らし」には掛からない。姉たちとの三人暮らしは、私にとって非常に鬱陶しいものであった。

 最後の1年を東国分寺で過ごしたが、この1年は、姉たちから解放され、すごく自由で楽しい(恋人はいないけど)1年となる。当時はまだ禁止されていた密造酒を造ったのもこの頃。その話は既に何かの項で書いたと思うが、市販されている日本酒が偽物、つまり米で作った醸造酒にアルコール、糖類などを加えたものであるということを知り、ならば自分で本物の日本酒をと思って造ったもの。旨かったが、3日で酢に変った。
 もう一つ、これは別に禁止されているものでは無いが、独り暮らしの若い男が普通やらないであろうということもやった。正月用の餅を自分で作ったのであった。それまで1度も買ったことの無いもち米を買い、それをいつもの炊飯器で炊き、炊飯器の中から炊き上がったもち米の入った器を取り出し、それを畳の上に置いて、ビールの空き瓶で搗く。杵搗き餅ならぬ瓶搗き餅。まだ暖かいものを何もつけずに食った。これが、予想以上に旨かった。缶詰の小豆餡をつけても食った。これもまた旨かった。

 炊いたもち米を搗く時に、搗き過ぎない方が旨いのだということを知った。私の自作の餅は、米の粒がところどころ残っている餅であった。最初からそのように作るつもりでは無かった。市販の餅のようにしっかりと搗かれて、こねられた餅を想定していた。ところが、ビール瓶を上下させる運動が、もち米が餅に変化していくにつれて瓶が重くなり、腕が疲れてしまったのである。「まあ、いいか」と妥協した結果なのであった。

  沖縄の餅は、私の好きな米粒が少し残った餅とはずっとかけ離れた、とてもよくこねられて粒のまったく無い餅である。倭国の餅と製造方法が異なる。白玉粉を使って作った餅を想像してくれると良い。『沖縄大百科事典』によると、
 ケーワリ(粉割り):もち米を水に浸して、木臼にたて杵で搗く
 水びき:石臼に水を加えながら碾く
と、2種類の製造方法あり、どちらも生の米を細かくしている。さらに、「その後で形を作り、蒸す。もち米を蒸して杵臼で搗く方法はほとんど無い。」とのこと。おそらく、沖縄のやり方が杵臼で搗くより楽なのであろう。面倒臭がり屋のウチナーンチュらしい。
 そんな沖縄餅であるが、私は嫌いでは無い。砂糖を混ぜた物(カーサームーチがその代表)や、小豆餡の入った餡餅はお菓子として少しは食べる。何の味もつけていない、米そのものの味がする白餅、あるいは甘くない茹で小豆をまぶしたフチャギ(彼岸の時に供えられる餅)などは私の好物となっている。それを齧りながら日本酒を飲む。
      
 記:ガジ丸 2006.11.19 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


ドラゴンフルーツ

2011年03月25日 | 飲食:果物・菓子

  進化する果物

 植物としては既に沖縄の草木『ドラゴンフルーツ』で紹介済み。そこでは漢字を竜果とあてたが、龍果物としてもいい。リュウカブツと読む。流下物みたいで良い。お腹が空くと上の方からポロっと落ちてくる果物、みたいで良い。
 沖縄の植物『ドラゴンフルーツ』には「私は丸ごと1個買って食したことは無い。」と書いているが、それから約1年経ってなお、私は丸ごと1個買ったことは無い。買ったことは無いが、2ヶ月前、部屋に丸ごと1個あり、それを割って、切って、食べた。丸ごと1個は貰い物。旧盆で実家の仏壇に供えられていたものを頂いてきた。
 
 沖縄の植物『ドラゴンフルーツ』にはまた、「ドラゴンフルーツは、さほど美味しいものとは言えない。」と私は書いている。そういう印象を確かに持っている。で、頂いたドラゴンフルーツはそのまま食べるのではなく、何か美味しい食べ方はないか研究してみようと思った。黒糖を溶かした黒蜜をかけたり、蜂蜜をかけたり、冷凍庫で冷やして半シャーベット状にしたり、などなど考えた。
 果肉の色が赤系の種と白系の種があり、頂いたドラゴンフルーツは赤系のもの。先ずは何もかけずにそのまま食う。ところがこれが予想外に甘く、 「えっ!」と驚いた。黒蜜も蜂蜜も要らず、半シャーベット状にする必要も無かった。おそらく、栽培方法が工夫されて、甘くすることができたのだろう。また、水分も十分あり、夏、渇いた喉を潤してくれる役に立つ。さっぱりした甘さと十分の水分は、人気者になる可能性を持っている。
      
      
      
 ドラゴンフルーツ
 サボテン科の多年生多肉植物 原産分布は熱帯アメリカ 
 果肉は赤系の種と白系の種があり、一般に赤系が甘いとされている。植物としてドラゴンフルーツについてはる沖縄の草木『ドラゴンフルーツ』にある。
 →植物としてドラゴンフルーツ

 記:ガジ丸 2006.11.13 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


スイカ

2011年03月25日 | 飲食:果物・菓子

 割るのは好きだが

 沖縄では旧盆になると仏壇にお供え物をするが、御三味(ウサンミ:天麩羅、かまぼこなどの料理)の他、果物も何種類か供えられる。スイカとパイナップルは単独で、ナシ、バナナ、ミカン、リンゴなどは一つの盆に盛られて飾られている。スイカとパイナップルが単独で飾られるのは、それらが大きすぎて盆の上に乗らないからであろう。
 子供の頃、果物はあまり好物では無かったということもあって、供え物の果物の中に私の好物は無かった。好んで食べたのは桃くらいだったと記憶している。バナナやミカンはまだ食べる方であったが、ナシやリンゴは好んでは食べなかった。
  仏壇に単独で飾られている大きい果物のうち、パイナップルの好物度はバナナやミカンと同クラス。だが、缶詰のパイナップルは好きであった。・・・と、ここで気付いた。バナナやミカンは皮が剥きやすくて食べやすい。パイナップルも缶詰なら面倒が無い。生のものでもその皮は厚く切るので比較的楽。しかし。ナシやリンゴの皮は薄く剥かなければならない。面倒臭がり屋の私は、そういったことで好物が決まっていたようだ。

 仏壇に単独で飾られている大きい果物のうちのもう一つ、スイカについては、のどの渇いた時に食べると美味しいと思う。が、普段の場合だとこれは苦手な果物であった。何故かははっきりしている。皮が剥きにくいとか、切りにくいとかでは無い。スイカは、その果肉を口に運んで、口の中で種を分離して吐き出す、その作業が面倒なのである。
 子供の頃から現在まで、以上のような理由で、私はスイカを好んでは食べない。おそらく買ったことも無い。他所で出された時には食べるが、それも1切れで済ませている。ただし、子供の頃、浜辺でスイカを割るのは大好きであった。 
      
 スイカ(西瓜) 
 ウリ科の一年草 熱帯アフリカ原産 方言名:クヮントゥイ 
 漢字では水瓜とも書くが、水分の多い瓜ということであろう。西瓜は、西の地域からやってきた瓜と想像されるが、西の地域がどこなのかは不明。原産はアフリカ中部。
 多くの品種がある。沖縄では球形、やや楕円形がほとんどだが、世界には長楕円形、俵形のものもあるとのこと。そういったものを、私もテレビで見ている。果肉には淡紅・紅・黄・クリーム色などがあり、黄色いのは私も食べたことがある。
 タネナシスイカもあるが、種子も食用となるらしい。皮近くの白い部分を漬物にして食ったりもした。沖縄では今帰仁村が産地として有名。海水浴の後のスイカは格別。

 記:ガジ丸 2006.11.13 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


メロン

2011年03月25日 | 飲食:果物・菓子

 憧れの網目模様

 今でこそ旬になると、倭国産の他に、沖縄産のものも店に並べられるが、私が子供の頃は沖縄産メロンというものは無かったと思う。あるいは、あったかもしれないが、我が家ではメロンというものを買ったことがなかったのかもしれない。そういえば、子供の頃にメロンを食ったという記憶が無い。テレビや雑誌でよく目にしていた網目模様のマスクメロンなんてのは、近所のスーパーにも置いていなかったのではないだろうか。
 果物が特に好物というわけでも無い私は、メロンが食えないからと言って、親を恨んだり、世をはかなんで自殺したりするなんてことも無かったのだが、マスクメロンだけはいつか食べてみたいと思っていた。「とても美味しい」という噂なのであった。

  メロンを食べた記憶は、それがマスクメロンだったかどうかは覚えていないが、確か、従姉(このHPにたびたび登場する)の結婚披露宴だったと思う。
 結婚披露宴はホテルで、カクテルパーティー形式で行われた。当時、まだ高校生の私であったが、きれいなお姉さんたちがお盆に乗せて持ってくるカクテルを何杯も飲んだ。もう既にアルコールの洗礼はたっぷり受けていたし、体がアルコールに強い体質でもあったので、カクテルごときに大酔いすることは無かった。ほんのりとは酔っていた。
 ほろ酔いで、とても気分良く料理の並べられてあるテーブルを回り、あれこれと美味しいものを口に入れていた。その時、ある珍しい食い物に出会った。それが、テレビや写真では何度も見ているメロンであることはよーく判った。であるが、スライスされたメロンの上に肉らしきものが乗っかっている。これは、酢豚のパイナップル以来の衝撃。

 「何ちゅーことをするんだ、ここの料理人は!肉は肉だけで食えば美味いじゃないか。メロンはメロンだけで食いたいじゃないか。」と私は思った。だからといって、それを食べないということは、食い意地の張っている私はけしてやらない。肉(生ハムというものであることは後で知った)とメロンを一緒に口へ入れる。美味いとは思わなかった。やはり、別々で食べた方がいいのではないかと思った。それは、今でもそう思う。

 大学の頃、及び大学を卒業してからの数年間、私は貧乏だったのでメロンの食える身分に無かった。仕事に就いて、給料を貰うようになってからも、果物が好物でない私は、メロンを買って食う、というようなことをしなかった。今のアパートに移ったのは12年ほど前になるが、それから果物をよく食べるようになった。メロンも何度か食べている。しかし、それは憧れのマスクメロンでは無い。1個1000円ほどのメロンである。
      
 メロン(melon)
 ウリ科の一年草 アフリカ原産(一説にインド)
 多くの品種があり、マスクメロンが有名。高価な果物としても有名。
 広辞苑を見ると、メロンとは「シロウリ・マクワウリ・マスクメロン(中略)などの変種を含み、それぞれ品種が多い。」とあった。沖縄の飲食で紹介している野菜のモーウイは和名をシロウリと言う。というわけで、モーウイはメロンと同じウリ科メロン属であることが今回判明した。なるほどモーウイ、香りが良かったわけである。

 記:ガジ丸 2006.11.12 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


バンシルー

2011年03月25日 | 飲食:果物・菓子

 道端の果物

 植物としては既に沖縄の植物『バンジロウ』で紹介済み。バンジロウは和名で、バンシルーはウチナーグチ。その中で、「一般にイシ(石)バンシルーとミジ(水)バンシルーとに分けられ、イシバンシルーの方が甘くて美味しい。ミジバンシルーは名前を聞くと美味しそうだが、"水"は"みずみずしい"のでは無く、"みずっぽい"ということ。」と書いたが、実は私のその記憶、とても遠い。子供の頃(小学校高学年)の記憶でしかない。以来、バンシルーを食った経験は少ない。少なくともここ10年は食べていない。

 今週の日曜日(17日)、鹿児島から遊びにやって来た友人Nとヤンバルを回った。ヤンバルには駅の道がいくつもあって、その内の3軒を回った。道の駅には当地の農産物が売られている。あまり有名でない道の駅の方がそれらは安かった。大きな人参が4個で、ナーベーラーが4本で、タマネギが3個で、そして、那覇では400円近い大ぶりのモーウイなどがどれも100円で売られていた。
 ある道の駅でパイナップルが150円(那覇ではその倍)だったので買った。その傍にバンシルーがあった。Nが珍しがって赤いのと白いのをそれぞれ1袋ずつ買った。1袋には直径7、8センチくらい のバンシルーがそれぞれ6個ずつ入っていた。それを半分ずつ分けてもらう。家に持ち帰って2日後に食った。昔の、香りが良くてちょっと甘いが、小さな種がいっぱいあって食べ難い果物というイメージは、「小さな種がいっぱいあって食べ難い」は当たっていたが、「香りが良くてちょっと甘い」は違っていた。香りが弱いのである。甘味も全然足りないのである。「何じゃこりゃあ」であった。

 まあ、冷静に考えれば、まだ熟度が足りないのであろう。カニステルなどと同様に、ちょっと握ってみて少し柔らかさがあり、表面から香りが漂ってくる 頃が食べ頃なのであろう。それにはまだちょっと早かったみたいである。
 ちなみに、道の駅でパイナップルとバンシルーを買い、車へ向かう途中、隣の店を覗いたら、そこではパイナップルが100円だった。しまった!と思ったが、後の祭り。
      
      
 バンジロウ(グァバ)
 フトモモ科の常緑高木。原産地は熱帯アメリカ。
 バンジロウよりもグァバという名が有名だが、沖縄ではバンシルーがもっと有名。
 いろいろな品種があるらしい。イシバンシルー、ミジバンシルーがどのような品種名なのかまでは調べていない。ストロベリーグヮバなんて名前が美味しそうで、食べても美味しい品種もある。品種によって異なるが、収穫期は概ね8月から9月。
 →植物としてのバンジロウ

 記:ガジ丸 2006.9.21 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行