他人の失敗・不幸を喜ぶ気持ちは毛頭ないことを念頭に置いて頂きたい。
TV番組に出演予定の京大教授が2週連続で番組を遅刻・欠席した。
1回目は、京都からTV局のある大阪まで新幹線で移動する際に誤って上りの新幹線に乗ったそうである。乗車して直ぐに気付いたものか番組スタッフ宛第一報に「只今米原付近を名古屋に向け走行中」とメール報告されたらしい。
不案内の在来線駅での乗り換えに失敗した経験は幾度も有る自分でも、流石に新幹線の上下を間違えたことは無いので、可笑しさを通り越してしまった。しかしながら、自分であれば慌てふためくとともに、くどくどと謝りの言葉を入れ込むであろう第一報を、悠揚迫ることない文面で状況を端的に表現したメールを観て「流石に大学教授」と感服した。日本海海戦を前に秋山真之参謀が付け加えたとされる「本日天気晴朗なれど波高し」を彷彿させるものである。
1週間後の2回目は教授が出張先から大阪直行のために乗車した伯備線の急行列車が、折からの寒波で徐行運転を余儀なくされ、挙句の果てに列車故障で名も無い駅に放り出されことに依っている。流石に教授も今回は状況をつぶさに伝えられたそうであるが「ここは何処の駅だろう」と付け加えておられるらしい。番組に迷惑をかけることもさりながら、自分ではどうにもならぬ状況に対して全く途方に暮れたた状況・心情を余すことなく伝えるに相応しい表現に思える。
番組のMCは、達者な芸人で「駅で見かけたらアホと伝えて下さい」と笑いを取ったそうであるが、若し真に受けた視聴者が教授にアホと伝えたら、教授の素晴らしい切り返しの後日談が生まれたことだろう。
教授のますますの活躍を祈って終演。