比国シブヤン海に眠る『武蔵』が発見された。
アメリカ人大富豪の篤志的活動の結果である。帝国海軍栄光の象徴である『大和型』2番艦であるが、ネームシップである『大和』の名があまりに高いためにヤマト発見時に比べれば報道も少なめであるような気がする。沖縄への片道水上特攻という大和の悲劇的な最期に比べて、未だ相当の戦力を有していた時点での沈没であったために語られることが少なかったのかとも思う。大和は呉海軍工廠において海軍の技術と施設で建造されたが、武蔵は民間企業の三菱重工長崎造船所において建造されたものであり、現在も三菱においては艦艇建造の象徴的な艦として語り継がれている。戦後の復興に造船技術が貢献したことは周知のとおりであるが、民間の建艦技術伝承のシンボルとしても忘れてはならない戦艦と思う。
発見者が、武蔵と戦った米国人であるのが残念な気もするが、日米の確執と恩讐を超えた行為と讃えるべきかも知れない。また、武蔵に対する撮影と公開にも、武蔵と戦死者に対する畏敬が感じられるもので、天皇陛下訪問を控えたパラオで、沈没した帝国補給艦に五星紅旗を結び付けた中国人に比べて、奥ゆかしく感じられる。
国内では遺骨収容の話も出ているが、日本の安寧を願いつつ武蔵を第2の故郷とした英霊には、戦艦アリゾナに眠る米海軍軍人と同じように引き続き南の海で日本の行く末を静かに見守って欲しいと考える。