米国とキューバの関係修復が秒読みの段階にある。
世界的な社会主義の凋落によってキューバが西欧経済圏に屈した感が強く、カストロとゲバラのカリスマ性に支えられたキューバ共産革命も、時代の波に飲み込まれてしまった感がある。ソ連の崩壊、反(嫌)アメリカで結束していた中南米諸国の足並みの乱れ、チャベス大統領の強権で続けられていたベネズエラからの支援途絶、等の相次ぐ親星・衛星諸国の喪失によっていまや最貧国に成り果てたキューバにとっては当然の帰結かもしれない。米国との関係修復はアジア情勢にも影響することは必至で、北朝鮮は武器の迂回入手先の一つを失い、中国は西欧圏の経済制裁の結果を目の当たりにしたからである。欧米の経済制裁によって停滞しているロシアの現状を併せて考えれば、中国がアジアインフラ整備銀行の設立に固執するのは、衛星国として南北朝鮮しか持たない現状では欧米の経済制裁に抗しえないと考え、その保険として自由主義国の経済政策の一端に食い込もうとする行動であるかもしれない。
米国とキューバの関係修復は、社会主義体制一国の終焉にとどまらず、新たな冷戦到来の兆しかもしれないと考える。