国立新美術館で開催中の「ルーヴル展」を見た。
今回の目玉であるフェルメールの「天文学者」と、長年見たかったコローの「身づくろいをする若い女」を鑑賞できて、感動もひとしおであった。また、同館で開催中の「創元展」も併せて鑑賞したが、毎度のことながら自分の未熟さと才能のなさを再認識させられる1日であった。美術館を訪れて不思議に思うのは、企画展示室と所蔵品展示室が暗いことと展示品撮影の禁止である。欧米の美術館に比べて展示室が暗いのは展示物の保護と聞いたことがあるが、スポットライトによる局所照明が使用されていることを考えれば、あまり説得力がない。絵画が制作された時代の雰囲気を出しているのかとも思うのだが、中世の人はおそらく現代に数倍する視力を持っていたと思うので鑑賞条件を再現することなど無理ではないだろうか。写真撮影については、欧米の美術館は許可しているところが多い。著作権が存在する現代美術についてはうなづけるが、100年以上経った名画にはどうだろうか。また、日本の美術館のHPでは、所蔵品の写真はサムネイルが一般的であるが、海外の美術館では相当に鮮明な画像で紹介している。オリンピックの東京開催を機に積極的に日本文化を紹介・発信しようとする今、公立施設の所蔵品目録の紹介写真は、是非改善して欲しいと思うものである。
写真を見て実物を見たいという欲求はなお高まるし、明るい証明の下で画家の筆致を鮮明に見たいと思うのだが。