もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

天下4分5裂の計

2022年01月09日 | 野党

 ロシア軍のみで構成されたCSTO平和維持部隊2500人が、カザフスタンに進駐した。

 部隊の進駐は、経済的理由で発生したデモが反政府的暴動に発展することを恐れたカザフスタンからの要請に由るもので、平和維持部隊もインフラの警護等に従事しデモへの対処には当たらないとされているが、額面通りに信じる人はいないだろう。
 ロシアは既にウクライナのクリミア半島を併合し、さらにはウクライナ全面侵攻すら予想される兵力を展開しているなど、旧ソ連邦構成国を実質的に取り戻そうとの野望を露わにしている。
 中国は、国際司法裁判所の最低などお構いなしに東・南シナ海に覇権を確立して、台湾への武力侵攻をすらちらつかせている。
 大航海時代と呼ばれる1494(室町時代:明応3)年、植民地獲得競争によって共倒れになることを危惧したスペインとポルトガルは「トルデシリャス条約」を結んで、西経45度線を境に西方をスペイン、東方をポルトガルが獲得する範囲としたが、現在の中露の行動を見る限り、500年以上も前の大航海時代に逆戻りしたかのようである。
 かって中ソは国境紛争を繰り返し、1969(昭和44)年の珍宝島(ダマンスキー島)・八岔島(ゴルジンスキー島)争奪戦では、双方が核兵器の準備をしたとされている。ここまでの武力衝突を起こしながら、近年の一帯一路構想に伴う中露の確執が報じられないところを見ると、中露間には既に「新トルデシリャス秘密条約」があるのでは?と邪推したくなるほどである。
 三国志演義で諸葛亮は「天下三分の計」を以って劉備の「蜀漢」建国を実現させるが、孔明が生きていれば現在の世相を「天下何分の計」と表現するのだろうか。
 アメリカ組、中国組、ロシア組は確かであるが、イスラム組の存在も無視できないことから、生ける孔明は「天下4分」と分析するか、最近アメリカ組に加入した感があるインドも旗頭に立つことを虎視眈々と狙っている状況を加味して「天下5裂」とするだろうか。
 台湾有事=日本有事と考えて「兵力整備や部隊運用に関する日米地位協定の改定を急ぐべし」との主張に対して、専守防衛の枠を外れるものとの反対意見が聞かれるが、50年・半世紀前の専守防衛論は科学技術と国際情勢の変化から既に歴史遺産と呼べるものになっているように思う。

 マクドナルドがポテト輸送のカナダ港湾停滞を理由にLサイズのポテトフライ販売を中止したことを残念がる報道がなされた。
 もし、南シナ海が中国の内海となった場合には、中東~日本の原油輸送の大動脈であるマラッカ・バシー海峡経由の、中曽根航路帯と呼ばれるシーレーンは使用できず、インドネシア南方を迂回する小笠原航路とならざるを得ない。その場合の影響はポテトフライの比ではないように思う。
 「人類共通言語を持たないロシア・中国とは話し合いは成立しない」