もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

八代亜紀さん

2022年01月15日 | 芸能

 コロナ禍の自粛巣籠りの無聊を、演歌で癒している。

 数多の女性演歌歌手の中では、八代亜紀さんが群を抜いており、彼女の数多のヒット曲の中でも出世曲の「なみだ恋」と「もいちど逢いたい」は出色であると思っている。
 ある年のサケ・マス流し網漁の解禁日に、とある北海道の港に停泊中の思い出である。
 港内を見渡せば、停泊中の漁船群は全てマストに船名を染め抜いた大漁旗を掲げ、岸壁には見送りの家族・知人が蝟集してというお祭り騒ぎである。何事か?港まつりか?と見ていると、午前10時になると、各漁船は大音量で演歌を流しながら先を争うように出港して行く。聞けば、操業許可証を受け取った船から出漁できるとのことで、サケ・マスの回遊路を熟知している漁猟長が他船に先駆けて好位置をキープすべくの出港風景であった。
 その時の大音量演歌では八代亜紀さんの歌が圧倒的に多かったように思う。次いでは北島サブちゃんであったが、港の別れには八代さんが最も沁みると感じた。
 流し網漁は、刺し網を海潮流に漂流させて魚を刺させたり、絡ませる漁法であるが、捕獲が制限・禁止されている魚種に被害を与える等によって、外国では禁止しているケースも多い。調べた限り日本では200カイリ以内(EEZ)では現在も合法であるようであるが、漁獲量の減少等によって流し網漁は行われていないようである。
 流し網は、艦船の運航にも大きな制約を及ぼしていた。流し網には点々と灯火が装備されていることもあるが、装備されていないことも多いので、知らずに乗り切ることがある。その場合、大型流し網の太いロープはプロペラシャフトに絡まって艦船は航行不能に陥り、乗り組み潜水員による作業で取り除けない場合は造船所ドックに入渠して取り除くことになる。
 また、自衛隊としては切断した漁具は補償しなければならないが、違法操業からであろうか、はたまた漁具被害は当然としているのであろうか、被害者が名乗り出ないこともあった。
 自分の経験でも、年次検査で入渠した多くの場合、シャフトにロープや漁網を巻き込んでいたし、航海長に質しても「エッ」としか返ってこなかった。

 八代亜紀さんは、演歌の世界で功を遂げ「演歌の女王」となったが、近年は少女時代からの夢であったジャズの世界に軸足を移しておられるのは寂しい限りである。ジャズ志向は、彼女が小学5年生の時に父親が買ってくれた「ジュリー・ロンドン」に魅せられたことが原点となっており、致し方のないところである。
 八代さんに倣って「ジュリー・ロンドン」を集めたが、確かに八代さんに通じるものがあると思うものの、演歌・八代ファンとしては「ジュリー・ロンドン」との出会いをモチーフとした「1枚のLP盤(レコード)」に軍配を上げるものである。