もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

防衛意識の変化-1

2022年03月09日 | 防衛

 ウクライナ紛争は、国防・軍事に対する課題と選択を国内外に突き付けている。

 国際的には、米英独が軍事同盟非締結国に対する戦闘機を含む武器供与を決定した。日本もウクライナからの対戦車砲支援要請には法律の壁で供与できなかったものの軍用ヘルメットの提供には踏み切ったが、ウクライナからは儀礼的謝意は受けたもののロシアからは紛争加担と名指しされるという、「虻蜂とらず」に終わりそうな雲行きである。
 本日投開票が行われる韓国大統領選でも、親中朝の与党候補はウクライナ紛争勃発後に支持率が低下しているといわれる。
 ロシアと1000㎞に及ぶ国境線を有するフィンランドは、EUには加盟したもののロシアを刺激することを避けるためにNATOには加盟せず国民もそれを是としてきたが、ロシアのウクライナ侵攻目的がNATO加盟阻止であった現実から、NATO加盟を求めるという世論が急激に台頭していると報じられている。世界三大エレキバンドの一つ、ザ・スプートニクスの「霧のカレリア」で有名なカレリア地方を1965年の冬戦争で失ったトラウマを持つフィンランド国民としては、外国の支援を受けられずにカレリアを割譲した無念さは未だに生き続けているようである。
 日本でも、多くの原発を抱える福井県知事が原発防御に陸自の配備・駐屯を防衛相に打診した。これまで多くの首長は、市民活動家の「自衛隊基地周辺は攻撃目標になる」とのプロパガンダを鵜呑みにするかのようにしてきたが、ロシアの無差別攻撃を見る限り「抵抗が弱く自軍の損耗が防げる地域を無差別に攻撃して目的を達成する」というプーチン戦術が露わになり、中国も大いに参考にするであろうことは確実と思われる情勢では、福井県知事のような選択はますます増えるように思う。秋田県の佐竹知事の動向や如何に。
 専守防衛・敵基地攻撃能力の是非として長射程の武器を封じている我が国としては、他国からの侵略は、大東亜戦争末期の無差別空襲や、敵の上陸を水際で阻止する沖縄線・硫黄島線に近い本土決戦にならざるを得ないため、国内の全て・特に軍事施設の無い抵抗の弱いところに攻撃が集中することになるのは避けられないと思う。

 80歳を超えるウクライナ老人が、レジスタンスに参加している姿が報じられた。先日「銃を執るのに吝かでないが、視力・聴力・体力から壮丁の足手纏いにしかならないだろう」と自嘲したことを恥じている。抵抗の意志さえあれば何等かの働き場所は有るだろうことから、歩ける限り国難には身を捧げるべきと改めて決意し直した。