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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

政策提案型野党とは

2022年03月29日 | 野党

 28日の参院決算特別委員会で共産党の田村智子議員の正論が報じられた。

 田村議員の質問の形を借りた主張は、「国立大学が独立行政法人化されて以降、必要予算が削られた結果、論文数が減少するとともに任期付きの非正規教員が急増しているデータを挙げて、外部研究費確保に軸足が置かれて短期間に成果が挙がる研究に偏り、時間をかけた質の高い研究が阻まれている」との趣旨と報じられている。
 大学における教育と研究に目が暗いために、その主張が的を得たものか否かを判断する能力を持たないが、この提案に対して末松文科相が「重要な指摘を戴いた。予算も戻していかなければならない」と応じたところを見ると、指摘と提案は正鵠を射たものであるのだろう。さらに田村議員の「(研究の)トップを育てても科学技術全体の発展には繋がらないらない。裾野を広げないと」との提案には与党委員から「その通り」との応援の声が飛んだともされている。閑話休題。

 NHK・BS「コズミック・フロンロ」を良く視聴する。科学的素養に欠ける自分であるので完全には理解できないが、自然科学の分野では日本の天文学者が、世界に先駆けてビック・バン以降の宇宙に関する新しい発見や推論モデルを提示していることが紹介されることも多い。半面、江崎ダイオード以降世界をリードしてきた半導体等の分野では、国際情勢の変化によって半導体先進国からの供給が滞って、国内の生産ラインが止まる等の状況が報じられるし、コロナ禍では感染症防疫等の公衆衛生に関して、世界基準から大きく遅れていることも露呈した。

 田村議員の主張を自分なりに解釈すると、大学における研究(研究費の支給)は「金にはならないが軍事転用には結びつかない科学」に手厚いのではないだろうか。これは日本学術会議の軍事研究忌避の成果であり、それに導かれた名古屋大学平和憲章がリードする教育行政・大学(学問)自治の結果であるように思う。田村議員の主張を突き詰めれば、本人の意思はどうであれ菅首相(当時)の学術会議会員候補の任命拒否正当化に他ならないように思える。

 残念な点は、田村議員の提案が予算成立後の決算委員会でなされたことである。決算委員会の趣旨は早くても次年度予算案、大方は再来年度以降の予算案に反映されるものと理解している。願わくば、野党が総力を挙げて今国会の予算委員会で提議し、2022年度予讃案修正を実現して欲しかったように思う。
 それこそが、政策提案型野党の姿であると思うのだが、立民諸氏には理解できないだろうとは諦めている。