統一地方選の前半戦が終わった。
今後、専門家?による選挙結果の分析が行われるものと思うが、素人観には自公:微増、立民:現状維持、共産:激減、維新:躍進に思える。国政選挙と異なり地域の利益や直面する問題などによって結果が必ずしも国家観や国家戦略の如何についての判断を示すものではないだろうが、今回の選挙結果からはそれらに関する有権者の意識が微妙に変化していることが窺えるように思える。
10年ほど前までは、選挙のプロは「憲法と防衛は票にならない」として国政選挙では「選挙区への利益誘導」、地方選挙では「中央政界とのパイプ(予算)の太さ」がキーワード・公約であり、如何に有権者の懐を肥やすことができるかを競っていた。閑話休題。
第二次大戦以降に起きた宣戦布告は無いものの実質的な戦争を眺めると、原因はイデオロギー・宗教・民族によるもので「勝った方が大きな金銭的実利を得る」ものであったが、ウクライナ事変では「勝利しても現状維持」でしかないウクライナが、何故に多くの犠牲を払ってでも強国に抵抗するのかを考えると「ウクライナ人のアイデンティティを守る」の一点である。
ウクライナ人の抵抗の真因を目の当たりにした有権者は、日本人として「守るべきものは何か」、「守るにはどうすれば良いのか」を真剣に考えるようになったのではないかと思っている。その視点で日本の現状を観ると、他国には何の縛りにもならない平和憲法が日本を守ってきたとする主張がまやかしであり、決して日本と日本国民の将来を保証することに繋がらないこと、消極的専守防衛策では第一撃に依る国民の被害があまりにも大きいことに気付いたように思えてならない。
これは日本国民に限ったことではなく、ウクライナ事変を機にスウェーデンとフィンランドは NATO加盟を、韓国はミサイルの国産化と核の共有を、オーストラリアはAUKAS機能強化を、それぞれ是とするように国民の意識が変化している。
今回の統一地方選挙の事前予想では、小西文書・子育て・少子化対策などから、立憲民主党優位に推移するのではないかと観られていた。
辛勝した自民党・森山選対委員長「堂々と政策を訴え、国民に評価していただいた結果」、躍進した日本維新の会・馬場代表「大阪でやってきた身を切る改革をはじめとする改革が、関西を中心に全国的に広がりつつあると思う」と述べて有権者の意識変化を汲み取ったことを言外にしているに比し、勝てなかった立憲民主党・大串選対委員長は「全国でアゲンストの風を受けた戦いとは思っていない」として、従来型の政権の瑕疵を突くことで相対評価を得る減点戦術やバラマキで関心を得る選挙戦術がもはや通じなくなりつつある現状を認識しないかのようである。