世界的に有名な韓国の人気グループBTSのメンバーが入営する様子が報道された。
最早ミュージシャンとは懸け離れた「短髪・アーミーカット」で仲間と談笑する姿を観て、改めて徴兵制や軍務について考えた人も多いのではないだろうか。
日本では「徴兵による軍務」=「苦役」と短絡するが、男子皆兵の韓国では徴兵に応じるのは国民の義務であり、既に日本人が失った「徴兵による短期軍務の義務を果たすことで漸く一人前」という土壌・風潮が未だ健在であるように思える。
ベトナム戦争当時、世界最強ボクサーのカシアス・クレイは「俺に試合させれば1試合で戦闘機が買える」と述べて徴兵応召を拒否したが、チャンピョンベルトを剥奪されボクシング界からも一時追放された。後に、イスラムに改宗しモハメッド・アリとなって復権を果たすものの、長い時間が必要であった。
クリントン大統領は、建国以来初の「軍歴の無い大統領」と呼ばれ以後は軍歴が大統領必須の経歴とはされなくなったが、それ以前は「軍務で国に奉仕する」ことが、愛国心の指標とされていたように思う。
韓国における徴兵制のあらましは、男性は特別な事情(特定の疾患者、2年以上の受刑者、孤児など)を除いて、満19歳になれば徴兵検査を受けて1~7級に分けられ、1~3級は陸軍26ヶ月、海軍28ヶ月、海兵隊26ヶ月、空軍30ヶ月の軍務につき、4,5級は公益勤務要員として26ヶ月の兵役につくとされ、6,7級は兵役免除となるらしい。
戦前の日本でも甲種合格=現役兵、乙種合格=兵站勤務、丙種=兵役免除が基本とされていたので、似通っているように思える。
入営後は、教育隊で5週間の集中教育・基礎訓練の後に部隊に配属されて教育訓練・勤務に服するとされている。
韓国でも有力者の子弟が虚偽や悪質の手段を弄して、特技者にのみ与えられる兵役免除特権を不正に取得したり、疾病を装って6,7級の兵役免除を得たケースが少なくないと報じられるが、露見した場合には汚名・烙印を雪ぐのは容易でないようである。
BTSについてはグループ7人中の2名が既に入営し以後も順次応召するとしており、メンバー全員に依る活動再開は数年後とされているが、ファンの多くも当然の成行きと受け取っていると報じられている。
また、大学生については、2学年終了時に休学して応召するのが一般的とされているので、兵役=勉学の阻害という意識・実害は希薄であるようにも思える。