今週のGⅠ競馬もルメール騎手が騎乗する馬が勝利した。
競馬に暗いので、年間何レースあるかも知らないGIを制するのは、ルメール(仏)騎手とデムーロ騎手(伊)の場合が多いようで、往時の武豊騎手時代を彷彿させる。GⅠの勝利を重ねれば強豪馬への騎乗依頼・騎乗機会が増えて更に勝利を重ねるというスパイラル状態であり、当分はこの状態が続くものだろう。
艦船勤務にあっては、基地以外の港湾で週末を過ごす機会も多いために、時間つぶしの対象としては映画、パチンコと並んで公営ギャンブルがあった。あったと過去形で書いたのは、現在の若年隊員はギャンブルをしない人が大多数であるためである。公営ギャンブルでも、場外投票制度がない時代であるために、停泊港から近い競輪・競艇が主で、競馬場に行ったことは付き合いで出掛けた東京競馬場1回のみである。さらには、馬畜生の勝敗に人間が一喜一憂すること等許しがたいとも思っていたためで、それは今でも変わっていない。
競馬に比べて人間が走る競輪はレースそのものが人間のドラマであり、人生の縮図であった。競輪選手の中には、60才を過ぎてなお現役の選手が概ねB級という最下位のクラスに在籍していた。彼等の中には、既にレースの賞金よりも周回車列の先頭に立って風除けとなることで手当てを受け取ることができる「トップ引き」に徹する選手もいた。トップ引きは、周回で力を使い切って概ねどん尻になるので、車券から外さなければならなかった。後年にはトップ引き選手は公表されることになったが、当時は誰がトップを引くのかも予想の対象であったが、衆目一致・暗黙の了解であったと思っている。
トップ引き選手の特定予想の他にも考慮すべき要因は多く、例えば、同郷・同期選手の存在やライン・御当地選手の有無があり、中には選手の息子の進学や娘の結婚などで賞金を得る必要性も誠しとやかに噂されていた。これらの情報の多くは、見知らぬ者同士が饂飩をすすりながらの会話に依ることが殆どであったが、偶然の一致かどうかは分からぬが的中したことがある。特に年末のレースでは、ボーナスにも比定し得る優勝賞金を誰が手にするかという「餅代予想」は確度が高かったと思っている。
現在の高齢競輪選手の状況はどうだろうかとネットで調べて見た。選手一覧は有料サイトでしか閲覧できなかったが、2021年5月現在の最高齢選手(実際にレースを走っている選手のみ)では佐古雅俊選手(広島・45期・60歳)との記事を見つけた。更には別の記事で、2019年11月23日の取手1Rで現役最年長レーサーの三ツ井勉選手(神奈川、45期)が勝利して競輪の最高齢勝利記録を64歳1カ月14日に更新したことも知った。このことから、現在の競輪界は当時に比べて高齢者は減っているものの、高齢者と雖も勝つために走っており、往時のような高齢選手の生き方は少なくなっているようにも思えるので、競輪を人生の縮図などと考えるのは競輪選手に対する冒涜であるように思う。更には、51歳の神山雄一郎選手のように、トップクラスのS級S1班として活躍している選手も居ることから、競輪自体もギャンブルのカテゴリーを越えてアスリートの勝負の世界に変身しているもののようで、Keirinが万国共通語となりオリンピック種目となったのも肯けるものである。
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