今、韓国と文大統領が面白い

　韓国は、北朝鮮の五輪参加に伴って生じた国連の北制裁措置破りの補修に苦慮している。

　日本には日韓合意の再交渉はしないことを表明して当面の糊塗に成功した感があるが、アメリカにはペンス副大統領と北代表団を接触させてポイントを稼ごうとしてレセプションで同じテーブルにつけようとしたが、ペンス副大統領は北代表との握手はおろか着席すらすることなく退席してしまった。それでも北からの大統領訪朝要請を得たことで南北五輪の成果としているが、国際関係の場では、より一層困難な状況を作り出したに過ぎないと思わざるを得ない。北朝鮮の｢困ったときの韓国頼み(利用)｣は常套手段であり、困窮した時は南北首脳会談を持ちかけて急場を凌いでおり、金大中大統領時は金剛山観光と離散家族の再会事業を、廬武鉉大統領時は開城工業団地の開設をそれぞれ勝ち取り、外貨を獲得した後は一方的に事業を閉鎖してインフラを頂戴することの繰り返しである。南北融和政策を唱える歴代大統領はこぞって顔に泥を塗られているにも拘らず、文大統領は今回の会談に前向きであるように観測されている。しかしながら金王朝が今回の訪朝要請に実妹まで駆り出していることを考え併せると、北の困窮・逼迫の度は過去にないほど深刻で、それゆえに過去に例を見ない額の見返りを求めてくるものと思われることから、韓国の苦悩も過去に倍するものになると思われる。韓国外交の特色は慰安婦問題にも見られるように、弱腰の相手には居丈高に臨む反面、強固な信念を持つ国に対しては八方美人的に卑屈になることであると思われる。北朝鮮に対しては朝鮮戦争であれほどの被害を受けたにもかかわらず、補償はおろか謝罪すらも求めていないではないか。

　南北融和の公約で自縄自縛に陥った感のある文大統領。制裁措置という国連決議の枠組み下で、お得意の2枚舌外交が真価を発揮するのだろうかと面白がっている。2枚舌と言えば前述の｢日韓合意の再交渉否定｣も、覆される日が必ず来る思っている。