近年、海外における自衛艦の寄港地と寄港国海軍との協同訓練の機会が増えていることが報じられた。
自分の在職時は、協同訓練ができるのは米海軍とのみであり、太平洋を取り巻く10数か国が参加する環太平洋合同訓練(LIMPAC)でも協同訓練ができる相手は米海軍のみに限定されていた。同訓練のハイライトであるハワイ~米国西海岸までの演習にあっても、日本を除く参加国とは別に日米のみの艦隊を編成しての訓練で、米海軍も日米のみの艦隊のために空母や攻撃型原潜を割くという足手まとい海軍(自衛隊)に最大限のサービスを余儀なくされていた。自衛艦の寄港地に関しても友好国に限られ、アジアにおいてはフィリピン、インドネシア、シンガポール程度で相手国の政体の変化に伴ってインド、セイロン(スリランカ)、パキスタン(バングラデシュ)への寄港を取り止めざるを得なくなり、限定された地域にしか海軍力のプレゼンスを発揮できなかった。海上自衛隊が国際的に認知され始めたのはペルシャ湾派遣とカンボディアPKO参加にあり、スーダンの海賊対策で決定的な評価を得たものと思う。現在、中国は一帯一路構想を軸にした経済活動で他国の港湾施設を99年間優先使用できる寄港地を増やしているが、このことは香港・マカオが列強に租借されていたことの意趣返し・先祖返りの手法で、歴史を逆行させる悪行と思うものの開発途上国の実情から国際社会も黙認している。中国のように経済まで同調させての海軍運用が困難な日本としては、地道に寄港地を増やし、真摯に相手国との協同訓練を行って、親善→協同→協調の道を辿る努力を続けるしかないと思う。現在、日本の軍事力と大東亜戦争の相関を言い立てて忌避感を示すのは、中国・韓国と国内の野党(論壇・学会を含む。)勢力のみで、戦場となった地域でも日本の軍事力は国際貢献に必要なものとして認知されていることを国民は理解しなければならないと思う。
中華思想を鈍化(断念が望ましいが)させ、インド洋~太平洋を中国の海にしないためにも、外務省は自衛艦の寄港先を増やし、防衛省は寄港先の海軍との協同訓練の場を拡大する努力を続けて欲しと思うものである。
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