もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

塩野義の飲み薬に思う

2022年07月21日 | コロナ

 塩野義製薬が開発した対コロナ飲み薬「ゾコーバ」の承認が見送られた。

 薬剤と薬事行政に関して無知であるが、今回の決定に対しては2・3の疑問を感じる。
 これまでの薬事行政、特に医薬品審議に関しては「ゼロリスク」を追及するあまりにスピード感に欠けるとされ、製薬会社の新薬開発意欲を削ぐ最大の要因とされきた。この体質が中国コロナのパンデミック制御のネックであることを痛感した政府は2月に「医薬品医療機器法(薬機法)」を改正して緊急承認制度を設けて、これまで1~2年かけていた承認手続きを緊急性の高い医薬品については期間を短縮できる改正を行ったが、今回の決定を見る限り法の精神が生かされたようには見えない。
 報道によると、「ゾコーバ」はウィルス量の減少効果は確認されたものの、当初に塩野義が掲げた12症状の総合的な改善効果が明確でないとの理由とされているが、そう簡単かつ短期間に特効・万能薬は期待できないだろうことを思えば、決定に関しては疑問符を付けるべきと思う。
 今回審議に当ったのは、医薬品第2部会と薬事分科会の専門家併せて40名の委員と参考人と伝えられているが、甲論乙駁の状態であったらしく、最後にはお決まりの「継続審議」で専門家の顔を立てるとともに責任を問われない結論に至ったと考えるのは勘繰りであろうか。
 薬事審議会については、コロナワクチン承認に対しては、モデルナには重篤は副反応が懸念・報告されていたにも拘わらず、国内治験を俟つことなく申請から2週間で承認した。自分は、医療・医薬品について「ゼロリスクで全ての命を救う」など夢物語で、ワクチンを含む医薬品に対しても「救える命」と「副作用で失う命」の冷徹な損得勘定に依るべきと考えているので、副反応死を覚悟した緊急承認を高く評価し自身でも躊躇せずにモデルナワクチンの投与を受けた。

 40人という委員数が適切であったのだろうか。はたまた40人の中に対B(生物)戦専門家が含まれていたのだろうかという疑問も残る。今回の中国コロナの蔓延は、対B戦の格好のモデルとも捉えられる一面を持っていることを思えば、緊急時においては厚労省の薬事審議も政府の感染症対策機構に組み入れるべきではないだろうか。
 今回の審議過程が甲論乙駁であったとされるが、40人も集まれば「船頭多くして・・」状態に陥ることは明白で、継続審議は当然の結果とも思える。
 最後に、継続審議と結論した40人の委員が、製薬会社と「ゾコーバ」開発者に無縁の学究の徒であり、憂国の行政官であることを祈って終演。


秋篠宮家に対する誹謗

2022年07月19日 | 天皇・皇室

 ネット上で秋篠宮家に対する誹謗が盛んであるらしい。

 本日の産経新聞「正論」欄で竹内久美子氏の記述で知ったことであるが、誹謗は秋篠宮殿下の立皇子の礼を契機に激しさを増したとされている。平素からその種の噂には興味が無かったのでモノは試しと検索をしたら、悪口満載の有様で皇統維持のための陰謀論さえあった。
 帝国憲法下であれば、これらの記事は不敬罪以上の罪科に問われるであろう主張であるが、現状は表現、思想・信条の自由に守られ、まさに言いたい放題の惨状を呈している。不敬罪を調べてみると、3か月以上5年以下の懲役となっているので、現状におけるネット記事は記述内容から見て投稿者には最高刑の5年懲役刑を科されるであろうことは確実に思える。
 「正論」の論述が正確であるならば、秋篠宮家に対する誹謗が最近では秋篠宮家擁護者にも向けられているそうで、あやふやな日本語でのコピペ的同一表現や、秋篠宮家バッシング書き込みバイトがあるとの噂もあることから、外国人が関与している可能性が疑われる状況であるらしい。
 正論欄では、秋篠宮家に誹謗が集中するのは、今上上皇の天皇譲位が実現したことから皇位継承1位の秋篠宮殿下、同2位の悠仁殿下に対する攻撃を激化して即位辞退を期待しているのではと継いでいるが、なにやらキナ臭い背景も感じ取れるように思える。

 皇室に対して行われるこの種の故無き誹謗・中傷に対しては、背景や背後関係を云々するよりも、国が原告となって告発し、司法的手段で中傷者を特定し処罰することが手っ取り早いのではと考える。しかしながら、それとても中傷で女子プロレスラーを自殺に追い込んだ中傷者に対する刑罰が、9000円の罰金刑であったとされるので、この種の書き込みを根絶することは困難であろうと思わざるを得ない。
 日本国憲法は天皇を国民統合の象徴としている。象徴に対する侮辱は畢竟国民及び憲法に対する侮辱であると考えれば、これらの者に対する告発者としては政府や憲法改正を公約する自民党よりも、憲法堅持を訴える社民党や立憲民主党の方がより適格であるように思える。
 もし、今回の参院選前に社民党が告発者となった場合は、1名当選・得票率2%どころか大量当選も夢ではなかった・・・かナ。



国葬の行方

2022年07月17日 | 与党

 政府が安倍元総理を国葬で葬送すると決定したことに対する朝野の反応をウォッチしている。

 政党別に眺めると、現時点で全面的に賛意を表明しているのは自民・国民民主・維新で、公明は沈黙し、共産・社民・れいわは絶対反対と理解している。
 立憲民主党は、当初から泉代表が「葬送を静かに見守りたい」と述べたことから消極的賛成と見ていたが、ここにきて安倍氏の功績評価に対して辻元氏を始めとする何でも反対・諸事騒擾勢力が「功罪検証」を主張し始めたことからであろうか、泉代表も「国会閉会中の委員会集中審議要求」を持ち出す等、恒例の動きに戻りつつあるように見受けられる。
 辻元氏の主張について伝えられるところでは、「モリ・カケ・サクラ・と省庁のデータ改竄」を検証すべきとしているようであるが、数年間の国会追及でさえ「クロ」を実証し得なかったことを考えれば、短期間で彼等の目指す真相検証などは不可能であることを十分承知した上での検証要求であり、民意を忖度して国葬そのものには表立った反対はしないが、時間を掛けて済崩し的に国葬を葬り去ることを企図した戦術なのであろうと推測する。
 辻元氏の主張は、政治家としての国家観・国際感覚の未熟さを露呈する以上に、政治家としての度量衡が極めて幼稚であることを示しているように思えてならない。辻元氏の天秤秤にあっては、片方の皿に「インド太平洋戦略」を乗せ、反対側の皿には「モリ・カケ・サクラ」を乗せて針の振れを見ようとしているのだろうか。

 「ではの守」ながら、イギリスのサッチャー氏の葬送を眺めてみた。サッチャー氏は、フォークランド紛争に勝利し、低迷していたイギリス経済を再生して大英帝国の再興を果たしたが、葬儀は「準国葬」であった。これは、紛争勝利等の功績の皿と、首相退任後において顕在化した「小さな政府政策」によって生じた富裕層と取り残された階級の分断を乗せた天秤秤の結果とされている。しかしながら、それでも女王陛下の臨席や遺体を砲車で運んだことから全くの国葬であったとされている。
 このように、天秤秤の両端には同価値の事績を乗せて両者の軽重を測るべきであり、辻元氏の主張する事績軽重判断に対しては、日本の選良にしてこの程度かと嘆かざるを得ない。


ウォーターハウスの絵

2022年07月15日 | 美術

 本日は、生活に倦んだ日に眺める”自分流癒しの絵画”を紹介します。

 画家は、イギリスのジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(1849(嘉永2)年-1917(大正6)年)で、神話や文学作品に登場する女性を題材にしたことで知られ、代表作は、アーサー王物語の登場人物・騎士ランスロットの愛を得られぬことを知った悲しみのあまりに死を選ぶ乙女を描いた"シャロットの女(3枚)" とされている。
 浅薄な知識であるが、あまり逸話も伝えられていないこと等から見て、日本ではマイナーな存在であるように思える。画家に対しては失礼の極みと思うが、力まずにボヤッと眺めるには格好と思っている。

    
シャロットの女(1888年)       シャロットの女(1894年)       シャロットの女(1916年)


クレオパトラ


オフィリア


ミランダ


国葬を考える

2022年07月14日 | 与党

 安倍元総理の葬送を国葬とする主張が起きている。

 国葬については以前に勉強したが、各国ともに明確な基準や儀典が定められていなかったと記憶している。戦前の日本は国葬法に依っていたが、それとても勅令に依っていた国葬の範囲・基準が明確さを欠いて来たために、昭和12年になって制定されたものである。戦後には国葬法が廃止されたために国葬自体が有名無実となっている。
 昭和42年に吉田茂氏に贈られた戦後唯一の国葬は、当時の佐藤栄作総理の強い意向で執行されたものであるが、野党からは国家が宗教に関与する憲法違反、公費支出の妥当性、功績評価等に多くの異論・反対があったとされている。
 さらに、現行唯一の国葬と看做される皇室典範に基づく「大喪の礼」にすら、国家元首の葬送にも拘わらず「天皇家の私的行事への公費の支出」なる非礼な極論もある。
 大喪の礼は置いても、世界的にも国葬の基準とされる「故人の業績」に定量的な尺度は無く、毀誉褒貶は主義主張によって大きく異なるために、国葬実施の判断は反対意見を封じた政治主導であるのが実情であるように思える。
 そんなこともあって、大喪の礼と吉田氏以外には国葬の栄に浴した故人は無く、総理経験者と雖も国民葬、内閣と国会・政党の合同葬、政党葬、衆議院葬などで送られている。
 産経新聞の社説によると、安倍氏の災禍に対しては世界259か国から2000件以上の弔意が寄せられ、インド、ブラジル、キューバは服喪を表明し、多くの指導者若しくは代表が葬儀参列の意を伝えているとされる。このことを考えても、安倍元総理の葬送については早急に決定する必要があるように思うと同時に、自分は国葬も可と考える。

 安倍氏の功績である「自由で開かれたインド太平洋戦略」は日本が唯一世界的な潮流を創り出した提言で、集団的自衛権行使容認も西側諸国から好意的に迎えられているが、それらについても中国を刺激する愚策・右傾と反対する人も多いことだろう。
 気になったのは、首相官邸が弔意を示す半旗としたのは、列国に遅れた11日であったそうである。