もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

トラス氏に触発された三題噺

2022年10月24日 | 欧州

 トラス首相が、英国史上最短の在任45日で辞任を表明した。

 トラス首相は、財源不足を懸念する声を押し切って大型減税による経済成長(回復)と電力料金の補助で当面のインフレ対処を推進するとしていたが、財源確保のための国債売却によって金利上昇、ポンド・株価暴落を招いたと理解している。
 ジョンソン前首相は、首相官邸でのパーティーと与党幹部の性的スキャンダルによって主要閣僚や政府高官の辞任が相次いで辞任に追い込まれたが、トラス首相の後継者についての世論調査では断トツ1位の32%の支持を得ているとされる。しかしながら、ジョンソン氏は不出馬を表明して、早々とレースを降りてしまった。
 二人の首相の辞任劇を眺めると、民主主義におけるリーダー選びの難しさが実感できる。
 政策や手腕は確かなものの不品行で辞任を余儀なくされたジョンソン氏、品行方正?ながら国費の大盤振る舞いと税収減で国力(単純に経済)低下を招くと判断されて支持を失ったトラス氏、どちらも議会制民主主義の優等生とされたイギリス議会・国民の下に行われたことであることを思えば、救国の宰相チャーチル氏が平時に追われた際に残したとされる「民主主義は最悪の政治形態であるが、それに代わる物が見当たらない」という言葉が、実感を以って思い出される。
 習近平氏が憲法を超越する共産党規約を踏みにじる形で、3期目の総書記の座に居座った。中国の政治形態は、9700万人(人口比7%)の党員が下支えする共産党にあって、実質的には24名の政治局員が国政の全てを握っている。更に言えば、24名の政治局員中の7名の常務委員(最高指導部)で14億人を統御していることになって、そこには総選挙も、世論調査も、不品行の糾弾も存在しないので一度権力を握れば、国民の意思など顧慮することなく反対者への強権的な抑圧・制御・粛清まで可能となり、今回の総会でも人事案件の採決前に胡錦濤前国家主席が強制的に退席させられるかの映像が流出した。

 開会中の臨時国会の中継は見ないと決めているので些かのストレス軽減を得ているが、自民議員と統一教会の政策協定が槍玉に上がっているようである。
 先の総選挙では、得体のしれない(共産党の下部組織が定評)市民連合と野党4党が政策協定(合意)を結んだ。壺を売る宗教団体と共和制移行を図る市民連合、いずれもが鵺としては甲乙つけ難い存在であることを思えば、1票欲しさの目糞が同様の鼻糞を攻撃しているように思える。
 せめて、税の減収が長期的には国力損壊に繋がるとしたイギリス国民と議会を他山の石として欲しいと思っている。


イーロン・マスク氏を学ぶ

2022年10月23日 | アメリカ

 イーロン・マスク氏の言動が波紋を広げている。

 氏は、宇宙開発企業スペースXや電気自動車企業テスラ等のCEOで保有資産は3020億ドル(約35兆円)とされており、アメリカン・ドリームを絵に描いたような人物と思っていた。
 ウクライナ事変では、ウクライナの要請に応じる形でスペースXの運営するスターリンクシステムを提供するとともに約2万台のスターリンク端末を寄付してロシアに破壊された官/軍/民の通信インフラの代替機能を果たし、ウクライナの継戦に於いては正面装備供与に劣らない貢献をしていると思っていた。しかしながら、10月14日には米国防総省に「ウクライナでの無償提供は自社のみでは無期限に継続できない。継続する場合は資金提供が必要」との書簡を送ったことが報じられ、何やら冷水を浴びせられた思いがした。当該書簡は翌日には撤回されたとされているが、アメリカのウクライナ直接支援には含まれない解決が図られたのであろうと邪推している。
 一昨日、マスク氏が「台湾を一国二制度の下に中国化する選択肢もある」との発言が報じられた。香港で立証された「中国の横紙破りによる一国二制度の破綻」を忘れたかのように・アメリカの台湾政策を無視するように、中国政府の公式見解そのままの発言をしたことは、氏にとって上海にあるテスラの権益保護以外のことは脳裏に無いようにも思える。

 マスク氏は、多くのアメリカ大企業と同様に民主・共和両党に政治献金しているものの、政治的には中道より「やや右寄り」との評価が一般的であるが、ウクライナ支援や台湾に関する発言を観る限り、右も左もない「金銭至上主義者」と呼ぶべきであるようにも思える。
 彼の国籍がどうなっているのか判らないが、Wikipediaで眺めた彼の生い立ちは、高校までは南アフリカで、大学は母親の出身地であるカナダで過ごした後にアメリカに移住したとされているので、恐らく多重国籍者であろうと思っている。
 カルロス・ゴーン氏の拝金主義が露わになった際、ゴーン氏がポルトガル・レバノン・フランスの多重国籍であることを知ったが、貧乏人の僻みで云えばマスク氏にもゴーン氏と同種の匂いが感じられる。
 かって、祖国を持たない漂流者のユダヤ人が信じる物は銭だけといわれてきたが、多重国籍者が忠誠を尽くす対象は国家以外であるようにも思える。
 云わずもがなの一言「蓮舫議員、如何ですか」


マイナンバー考

2022年10月14日 | 社会・政治問題

 マイナンバー制度改革が加速の兆しを見せている。

 改革推進は、マイナンバーと銀行口座の紐付け、運転免許証・健康保険証との一体化で、これが完成すれば、漸くにIT中流国くらいまでには到達できると思っているが、一部には個人情報の一元化を危惧する意見もあって更なる曲折も考えられる。
 平成27年のマイナンバー制度発足時、現在取り沙汰されている事柄はすぐにでも行われるであろうと期待してマイナンバーカードを作ったが、期待したほどの利便性向上は実現せずに却って紙ベースの様式にマイナンバーを手書きしなければならないという煩雑さだけが追加された結果にしかならなかった。
 マイナンバー制度を「徴兵法」と国民を煽った結果デジタル化停滞を招いた政治家、個人の懐まで政府に握られると心配した国民は、今もって同様の趣旨でマイナンバー制度に反対しているのだろうか。各国で行われたコロナ給付金の支給ひとつをとっても、1週間で配布できたIT先進国に比して3か月も要した実情を観る限り、マイナンバーの効果は明らかであると思うのだが。
 悪口を承知で展望すると、個人情報を政府に握られることを恐れる人は、何か後ろ暗い点・脛に傷を持っているのだろうか。マイナンバー制度が完備されれば、懲戒された桃色教師が別の都府県で教職を得ることや、医師免許の無い人間が偽医師として働くことはできなくなるし、二重国籍を有耶無耶に幕引きした蓮舫議員も情報漏洩に怯える毎日になる。さらには、セキュリティー・クリアランス(適格性評価)の認定が必要とされる階層にとって個人情報の一元化は、脅威そのものとなるかもしれないが、国賊・非国民排除には有効なツールであるとも思っている。

 河野デジタル相に関しては、一郎~洋平~太郎と続く家系DNA、防衛大臣として代替計画の無いままのイージス・アショア白紙化、外務大臣としての専用機要求等によって、全幅の信頼は置けない人物と思っているが、将来のためにもマイナンバー制度改革は実現させて欲しいと願っている。しかしながら、その場合にあってもハード構築が中国の影響を排除できるものであるかどうかは常に監視すべきであるとも思っている。

 デジタルツールが利便性と危険性の両刃の刃であることは承知しているが、セキュリティーシステムも並行的に強化されていることもあって、マイナンバー制度は将来的に避けて通れない途であると思っている。我々も、徒に政治家の妄想・妄言に捉われず、虚心に利便性と個人情報の兼ね合いを天秤にかける賢明さが必要であると思っている。


真正カープの再来を祈念

2022年10月13日 | カープ・スポーツ

 年に3回と決めているカープ考です。

 CS進出が断たれてBクラスが確定した時点で書こうと思ったが、「少々の冷却期間を置いて」と自粛していたら電撃的に新井貴浩政権に移行してしまった。
 故野村克也監督の「監督の采配如何で勝つのは年間で2・3試合」との言葉通りならば、戦力低下しているカープの短期再生は新井監督と雖も困難であろうが、頑張って欲しいものである。
 今期のカープを眺めると、日替わりスタメン・猫の目打線によって、中途半端なユーティリティープレーヤーを量産したことが挙げられると思うが、それにもまして全体的にベンチが暗らかったことが印象的である。
 新井監督は会見で「球団に背番号15(永久欠番)をお願いしたが、本人(黒田博樹)に頼めと一蹴された」と笑わせていたが、この明るさが今のカープに必要だろうと思っている。さらに、カープの真骨頂であった「胃袋が汗をかく(OB木下二塁手談)」猛練習」の伝統にさりげなく触れていることから、緒方・佐々岡体制ではその伝統も薄らいでいたのかもしれない。
 新井監督には、打撃陣・投手陣の強化と多くの課題が突き付けられているが、まず取り組んで欲しいのは「積極プレイ」への意識改革であるように思う。カープのチーム打率はリーグトップであったが、安打の多くが2死からの単打で。これは2死であるために「ノーサイン」の気楽な場面では力を出せるが、待球・ヒットエンドラン・バント等のサイン下では結果を出せないことが大きいのではと思っている。今期の交流戦が惨憺たる結果に終わったのは、パリーグの積極的な試合運びに対応できなかったことが大きいのではないだろうか。

 恒例の故無き恨み節を語れば、Bクラス転落はヤクルトの恩知らずの結果である(苦笑)。ヤクルトが楽に優勝できたのはカープが2位DENA・3位阪神に大きく勝ち越したことが大きいにも拘わらず、優勝決定後には阪神・DENAにはコマ落ちで力無く敗れ、カープ戦で勝敗の帳尻を合わせた結果である(大蔑笑)。こんな意見は、選手やプロ野球全体に対する冒瀆と非難されるだろうし、なによりも自分自身が本当に思ってはいないが、こんなことを言いたくなるほどに終盤におけるカープの戦績は目を覆いたくなるものであった。
 秋季・春季キャンプ、FA選手の獲得、外人選手の取捨、ドラフト等々、フロントの資金力と新井監督の力量・手腕が試される日々が続くと思うが、出戻り新井を気にすることなく「真正カープ」再来に努めて欲しい。


ポセイドン&アルマゲドン

2022年10月11日 | 軍事

 ロシアの「ポセイドン」の実験が取りざたされている。

 ポセイドンは、自走式核魚雷を水深1000mの深海で爆発させ、500mにも及ぶ超巨大津波を発生させる兵器とされている。素人考えであるが、内海で水深も浅い黒海ではそれほどの威力は発揮できないためにウクライナに対して使用されることは無いだろうが、対NATOとしては極めて危険で有効であるように思える。もし、大西洋で使用されるならば、アメリカ・EU諸国は直撃を受け、干渉波は全世界に及んで日本でも東京湾口で数m程度の津波が、さらに品川に達する頃には10m以上にも及ぶように思える。閑話休題
 ロシアが戦術核の使用を示唆して以降、シェルターメーカーには問い合わせが増加しているそうで、ネット上にも国が核シェルターの整備をと訴える声も散見されるが、果たして、人間(人類)は核シェルターで生きながらえることができるのだろうか。
 Jアラートが正確に機能したとしても、国民に与えられる避難時間は最大15分程度ではないだろうか。例え自宅から1㎞の位置に全ての核被害から逃れることができる国営の核シェルターがあったとしても15分間では非難することすら容易ではないだろう。こう考えれば国営シェルターは1㎞おきに作らなければならない計算となって実現は不可能であると思う。加えて、外出中であったら・出勤途中であったら・勤務先では・車椅子では・・・と考えると、ますます悲観的に思える。
 一方、自宅に高性能シェルターを整備した場合には避難・生存できる確率は極めて高くなるが、残留放射能による二次被爆を避けるためには最低でも3~5日間(厚労省データ)シェルターに籠る必要があり、シェルターを出た生存者を待っているのは社会インフラが壊滅した電気も飲料水も食料もない世界である。核爆発が戦術核1~2か所であれば近傍からの救援も期待できるが、それ以上の規模であれば救援・救助などとても期待できないと思う。

 ロシア侵攻直後にウクライナ市民を守ったのは、冷戦時代に作られたシェルターであることは事実であるが、通常兵器から身を隠すためには機能したであろう地下シェルターも、ポセイドンのように進化した核兵器に対しては無力であるように思える。
 核シェルター避難で得られるのは、核爆発の直接被害者より一週間、永くて数週間の命であることを思えば、徒に思い悩むことやシェルター整備を渇望するのは無駄であるように思う。
 東日本震災以前には高さ10mの防潮堤を税金の無駄遣いと糾弾した市民団体があり、それを超える津波被害に対して国と自治体に起因する人災と糾弾する市民団体があったと記憶しているが、アルマゲドン以後にシェルター未整備を糾弾する声は無い。何故なら、大方の人は死に絶えているから。