トラス首相が、英国史上最短の在任45日で辞任を表明した。
トラス首相は、財源不足を懸念する声を押し切って大型減税による経済成長(回復)と電力料金の補助で当面のインフレ対処を推進するとしていたが、財源確保のための国債売却によって金利上昇、ポンド・株価暴落を招いたと理解している。
ジョンソン前首相は、首相官邸でのパーティーと与党幹部の性的スキャンダルによって主要閣僚や政府高官の辞任が相次いで辞任に追い込まれたが、トラス首相の後継者についての世論調査では断トツ1位の32%の支持を得ているとされる。しかしながら、ジョンソン氏は不出馬を表明して、早々とレースを降りてしまった。
二人の首相の辞任劇を眺めると、民主主義におけるリーダー選びの難しさが実感できる。
政策や手腕は確かなものの不品行で辞任を余儀なくされたジョンソン氏、品行方正?ながら国費の大盤振る舞いと税収減で国力(単純に経済)低下を招くと判断されて支持を失ったトラス氏、どちらも議会制民主主義の優等生とされたイギリス議会・国民の下に行われたことであることを思えば、救国の宰相チャーチル氏が平時に追われた際に残したとされる「民主主義は最悪の政治形態であるが、それに代わる物が見当たらない」という言葉が、実感を以って思い出される。
習近平氏が憲法を超越する共産党規約を踏みにじる形で、3期目の総書記の座に居座った。中国の政治形態は、9700万人(人口比7%)の党員が下支えする共産党にあって、実質的には24名の政治局員が国政の全てを握っている。更に言えば、24名の政治局員中の7名の常務委員(最高指導部)で14億人を統御していることになって、そこには総選挙も、世論調査も、不品行の糾弾も存在しないので一度権力を握れば、国民の意思など顧慮することなく反対者への強権的な抑圧・制御・粛清まで可能となり、今回の総会でも人事案件の採決前に胡錦濤前国家主席が強制的に退席させられるかの映像が流出した。
開会中の臨時国会の中継は見ないと決めているので些かのストレス軽減を得ているが、自民議員と統一教会の政策協定が槍玉に上がっているようである。
先の総選挙では、得体のしれない(共産党の下部組織が定評)市民連合と野党4党が政策協定(合意)を結んだ。壺を売る宗教団体と共和制移行を図る市民連合、いずれもが鵺としては甲乙つけ難い存在であることを思えば、1票欲しさの目糞が同様の鼻糞を攻撃しているように思える。
せめて、税の減収が長期的には国力損壊に繋がるとしたイギリス国民と議会を他山の石として欲しいと思っている。