もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

文字を知る

2022年10月29日 | 歴史

 NHKBSの「ヒューマニエンス」で知ったことをベースに、文字について考えてみた。

 番組では、最古の文字は5千年前の象形(楔形)文字とされているので、20万年前に人類が誕生したとして97%の期間中は文字を持たなかったとされていた。文字を持った5千年以降の急激な変化に対して、脳は文字識別に必要な機能を整備する暇がなく、止む無く20万年かけて獲得したグラフィック識別機能を代替として使用しているために、人間が失った機能もあるのでは?とされている。
 以前、縄文人では普遍的であったデフォルメ土偶が弥生人との混血によって忽然と姿を消した不思議を書いたが、この論に従えば縄文人のグラフィック機能が失われたことも説明できるのではと思った。
 日本に文字(漢字)が伝わったのは、4世紀~5世紀頃に朝鮮半島を経てとされているが、1世紀頃に造られたと思われる日本の遺跡から貨泉(中国「新」の硬貨)が見つかっているので、文字としては認識・活用されないものの、弥生人と混血した倭人の脳は既にグラフィック機能の多くが損なわれていたために、縄文土偶の普遍性が失われた可能性が考えられる(私見・暴論デス)。
 その後、日本語表記のための文字は、7世紀頃に漢字の音だけを用いた万葉仮名が生まれ、9世紀頃の平仮名と片仮名の発明・進化によって、表意・表音のために3種類の文字を駆使する世界唯一の難解な日本語が完成されたとされている。

 また、番組での「言葉は自然に発生・流布するが、文字は権力と密接に関係する」ということにもナルホドと思った。空間に飛散・消滅してしまうとともに到達範囲が限定される言葉に対して、文字は、記録・証拠・強制の根拠となって管理・統御できる対象が飛躍的に増大するという歴史を持っており、文字を持たなかった集団は小さな集落・地域コミュニティであったのに、文字を持った人は都市国家と呼べるほどの大きな集団で生活することができたとされている。
 残念ながら、現代では映像と伝播の進歩によって、言葉と雖も記録されて口禍となって降りかかることも少なくないが。

 番組では、「ヘリプコター」を読ませる実験があり、回答者の多くは「ヘリコプター」と読んでいた。これは、脳がエネルギー消費を抑えるために既知の知識を利用するためであり、これも文字認識のためにグラフィック機能を使用していることの証拠であるらしい。
 であれば、自分のブログでも多い、誤変換・字余り・字抜けもグラフィック機能に起因するものと開き直りたいが、注意力と云う別の機能が不足若しくは衰えている所為に過ぎない様である。