glimi

生きること:過去と未来とエスペラントと

糸通し

2006-03-09 08:42:34 | 家族・友人・私
展示室で
見学者が試着できる民族衣装に
ほころびを見つけた
なおしておこうかな、ふと思い
善は急げと針箱を調達
糸は太く針穴は小さい
見学中の女の子が声をかけてきた
『私がやりましょうか』

4年生
縫い物は5年生から始まる
彼女の声にみんな集ってくる
先生も見ている
この子の親切さを無にしたくない思いと
失敗させたくない私の思いの中で
糸は二つに割れて
半分だけ通った

おおっ!通った
歓声の中で女の子は不安そうに
『半分しか通っていない』と私を見る
大丈夫と針を受け取り
素知らぬふりで糸を2本にして縫った
女の子は幾度も私の仕事の具合を見に戻り
『私、人の役に立てて嬉しい』と小声で言い
私はありがとうを繰り返した

女の子はキラキラした瞳で
手を振りながら帰ってゆきました

コメント (5)
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