市の手話講座委託 「聴覚障害者に」
2008年07月15日
■北九州の団体 要望
手話講座の運営は聴覚障害者に任せて――。北九州市のNPO法人・市聴覚障害者協会(聴障協)が市の手話奉仕員(ボランティア)養成講座などの運営を自分たちに委託するよう要望している。現在は財団法人・市身体障害者福祉協会(身障協)が障害者福祉施設の指定管理者として運営。聴障協も同様の講座を独自に開くが、財政難で存続が危ぶまれ、「聴覚障害者の社会参加の場を奪わないで」と市に配慮を求めている。(吉田耕一)
聴障協によると、市の事業としての手話奉仕員養成講座は71年度から。これに上級者向けの手話通訳者養成講座と聴覚障害者向けの生活教室を加えた「聴覚障害者支援関連3事業」は、市から身障協を通した間接委託の形で聴障協が運営してきた。
ところが、市は06年度、行財政改革の一環として障害者福祉施設に指定管理者制度を導入。市立東部・西部障害者福祉会館など5施設の管理と、そこでの障害者福祉事業の運営を一括して身障協に委託した。市が指定管理者と結ぶ契約では業務の間接委託が禁じられるため、聴障協は35年間続けてきた市の手話講座を運営できなくなった。
聴障協は経験や人脈を無駄にしないため、講座名や会場を変えて06年度から独自に開催。結果として身障協と聴障協の講座は同じテキストを使い、一部の講師は双方を兼務している。
だが、市の予算で運営する身障協に対し、聴障協の講座は年間約200万円の運営費を会員の会費や寄付に頼るしかなく、大沢五恵理事長は「続けるのは厳しい状態」と言う。
聴障協は01年に身障協から独立し、06年にNPO法人になった。両者は同じ東部障害者福祉会館(戸畑区)に事務局を構える。身障協の担当者は「市の事業として指定管理者制度などの条件がクリアできるなら、一緒にやった方が助かる」と話す。
福岡市はこうした事業を市聴力障害者福祉協会に委託。施設管理や他の事業運営とは切り離した特命随意契約にしている。
聴障協の要望に対し、北九州市障害福祉課は「もっともな言い分で、十分考慮しないといけない。それも含めて検討中」と説明する。だが、今年度末で切れる5施設の指定管理者契約は次(5年間)も同じ一括委託になる見通しで、間もなく募集が始まる。大沢理事長らは「障害者の自立支援の意味でも、自分たちでできることは、やらせてほしい」と訴えている。
2008年07月15日
■北九州の団体 要望
手話講座の運営は聴覚障害者に任せて――。北九州市のNPO法人・市聴覚障害者協会(聴障協)が市の手話奉仕員(ボランティア)養成講座などの運営を自分たちに委託するよう要望している。現在は財団法人・市身体障害者福祉協会(身障協)が障害者福祉施設の指定管理者として運営。聴障協も同様の講座を独自に開くが、財政難で存続が危ぶまれ、「聴覚障害者の社会参加の場を奪わないで」と市に配慮を求めている。(吉田耕一)
聴障協によると、市の事業としての手話奉仕員養成講座は71年度から。これに上級者向けの手話通訳者養成講座と聴覚障害者向けの生活教室を加えた「聴覚障害者支援関連3事業」は、市から身障協を通した間接委託の形で聴障協が運営してきた。
ところが、市は06年度、行財政改革の一環として障害者福祉施設に指定管理者制度を導入。市立東部・西部障害者福祉会館など5施設の管理と、そこでの障害者福祉事業の運営を一括して身障協に委託した。市が指定管理者と結ぶ契約では業務の間接委託が禁じられるため、聴障協は35年間続けてきた市の手話講座を運営できなくなった。
聴障協は経験や人脈を無駄にしないため、講座名や会場を変えて06年度から独自に開催。結果として身障協と聴障協の講座は同じテキストを使い、一部の講師は双方を兼務している。
だが、市の予算で運営する身障協に対し、聴障協の講座は年間約200万円の運営費を会員の会費や寄付に頼るしかなく、大沢五恵理事長は「続けるのは厳しい状態」と言う。
聴障協は01年に身障協から独立し、06年にNPO法人になった。両者は同じ東部障害者福祉会館(戸畑区)に事務局を構える。身障協の担当者は「市の事業として指定管理者制度などの条件がクリアできるなら、一緒にやった方が助かる」と話す。
福岡市はこうした事業を市聴力障害者福祉協会に委託。施設管理や他の事業運営とは切り離した特命随意契約にしている。
聴障協の要望に対し、北九州市障害福祉課は「もっともな言い分で、十分考慮しないといけない。それも含めて検討中」と説明する。だが、今年度末で切れる5施設の指定管理者契約は次(5年間)も同じ一括委託になる見通しで、間もなく募集が始まる。大沢理事長らは「障害者の自立支援の意味でも、自分たちでできることは、やらせてほしい」と訴えている。