ケアホームやグループホームなど小規模福祉施設の防火設備設置をめぐり、東北の各消防本部が指導に頭を痛めている。消防法改正に伴い、現行基準では設置義務のない小規模施設も自力避難の困難な入所者が一定割合を超えた場合、2012年4月までに自動火災報知機などの設置が義務付けられる。ただ、入所者の要介護度や障害の度合いは常に変動するため、「割合」の線引きが難しいという。
現行の消防法は、施設の延べ床面積に応じて必要な設備を規定。例えば自動火災報知機は300平方メートル以上、スプリンクラーは1000平方メートル以上の施設に設置義務があったが、改正後は小規模施設(スプリンクラーは275平方メートル以上)も自力避難の難しい入所者が一定の割合を超えると設置しなければならない。
改正消防法などによると、介護施設は「入所者の半数以上が要介護者」、障害者施設は「重度障害者(障害者自立支援法上の程度区分4以上)が8割超」の場合、それぞれ自動火災報知機や火災通報装置、スプリンクラーなどの設置義務が発生。それ以外の小規模施設は家庭用火災報知機などの設置で済むという。
ところが、福祉施設では入所者の身体状況が常に変わる上、入所者も頻繁に入れ替わる。仙台市消防局は「現状だけで設置を指導しても、すぐ基準外になる事態も予想される」と困惑気味だ。
すべての防火設備の導入には多額の経費もかかり、盛岡地区広域行政事務組合消防本部も「厳しい経営を迫られている施設に、ぶれのある基準では指導できない」とこぼす。山形市消防本部も「面積など変動しない線引きがあれば指導しやすい。なぜ、こんな基準になったのか分からない」と首をかしげる。
福祉施設の防火設備設置基準をめぐる問題は、火災報知機を設置していなかった神奈川県綾瀬市の知的障害者グループホームで6月、入所者3人が焼死した火災で浮上。「設置義務があった」とする消防庁に対し、神奈川県が「ホームは共同住宅で福祉施設ではない。設置義務はない」と反論するなど、行政でも認識にずれがあることが浮き彫りになった。
消防庁予防課は「自治体ごとに福祉施設のとらえ方も違う。自力避難困難者の割合も、施設の現状で判断せざるを得ない。入所者の入れ替わりや要介護度の変化などは継続的な調査で把握し、指導していくしかない」と話している。
現行の消防法は、施設の延べ床面積に応じて必要な設備を規定。例えば自動火災報知機は300平方メートル以上、スプリンクラーは1000平方メートル以上の施設に設置義務があったが、改正後は小規模施設(スプリンクラーは275平方メートル以上)も自力避難の難しい入所者が一定の割合を超えると設置しなければならない。
改正消防法などによると、介護施設は「入所者の半数以上が要介護者」、障害者施設は「重度障害者(障害者自立支援法上の程度区分4以上)が8割超」の場合、それぞれ自動火災報知機や火災通報装置、スプリンクラーなどの設置義務が発生。それ以外の小規模施設は家庭用火災報知機などの設置で済むという。
ところが、福祉施設では入所者の身体状況が常に変わる上、入所者も頻繁に入れ替わる。仙台市消防局は「現状だけで設置を指導しても、すぐ基準外になる事態も予想される」と困惑気味だ。
すべての防火設備の導入には多額の経費もかかり、盛岡地区広域行政事務組合消防本部も「厳しい経営を迫られている施設に、ぶれのある基準では指導できない」とこぼす。山形市消防本部も「面積など変動しない線引きがあれば指導しやすい。なぜ、こんな基準になったのか分からない」と首をかしげる。
福祉施設の防火設備設置基準をめぐる問題は、火災報知機を設置していなかった神奈川県綾瀬市の知的障害者グループホームで6月、入所者3人が焼死した火災で浮上。「設置義務があった」とする消防庁に対し、神奈川県が「ホームは共同住宅で福祉施設ではない。設置義務はない」と反論するなど、行政でも認識にずれがあることが浮き彫りになった。
消防庁予防課は「自治体ごとに福祉施設のとらえ方も違う。自力避難困難者の割合も、施設の現状で判断せざるを得ない。入所者の入れ替わりや要介護度の変化などは継続的な調査で把握し、指導していくしかない」と話している。