重度の肝機能障害者の身体障害認定基準の作成に取り組んでいる厚生労働省の「肝機能障害の評価に関する検討会」(座長=柳澤信夫・関東労災病院名誉院長)は7月17日、第6回会合を開き、障害等級を決定する際の評価項目を大筋で了承した。また、厚労省は認定の前提として、症状が固定・永続することを確認する必要があるとし、一定期間をおいて2回の評価を行うことなどを提案。こちらも大筋で了承された。厚労省は、この日の議論を基に専門家との検討を行い、次回会合で具体化した認定基準案を示す予定。
厚労省は障害等級を決定する際の評価項目について、肝障害度を評価する分類の一つである「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」の客観的な検査数値のほか、▽障害に影響する病歴▽補完的な肝機能診断▽日常生活活動に関係する症状-を挙げた。
これに対し柳澤座長は、「妥当ではないかと思う」と述べた。厚労省はこの日の議論を踏まえ、専門家と個別の項目などについて検討を行い、次回会合で具体案を提出する方針だ。
厚労省はこのほか、認定の前提として、治療によって今後の症状の改善が見込めず、症状が固定・永続することを確認する必要があるとして、3-6か月の一定期間を置いて2回の評価を行うことや、肝機能を一時的に悪化させる要因の影響がなくなった状態での評価を基本とすることなどを提案。前回の議論で肝機能障害の範囲に含めるかどうかが焦点となったアルコール性肝障害については、断酒によってアルコールの影響がなくなった状態で肝臓のダメージを評価するなどとした。
これに対し八橋弘構成員(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター治療研究部長)は、「肝機能障害を起こす原因で、除去できるものは可能な限り除去する。除去しても回復しない肝障害・肝疾患を救済するという姿勢でいいと思う」と述べ、あくまで原因の除去が前提との考えを強調した。
厚労省が示した3-6か月の期間については、林紀夫構成員(阪大医学部附属病院長)が、「申請をする時に、既にほとんどの患者さんは病院にかかっているので、時間をさかのぼって3-6か月前のデータを使ってもいいのならば、その期間を設けてもいいと思う」とした。
しかし和泉徹構成員(北里大医学部循環器内科学教授)は、「アルコール性肝障害の場合、3か月の断酒率は高いが、6か月になるとぐんと落ちる。断酒の期間は非常に大切だと思う」などと指摘した。
議論を踏まえ柳澤座長は、アルコール性肝障害については6か月が妥当であると提案。厚労省側は「アルコールを含む要因が除去できたことを確認するため、診断書の様式の中に『アルコール断酒6か月』という項目を入れれば確認も可能になるかと思う。具体的なものをつくる時に、肝機能の専門の先生方と相談して様式を固めていきたい」などと述べた。
また、障害等級については、心臓や腎臓などの障害と同じく1、3、4級の3段階にするか、HIVによる免疫機能障害のように1-4級の4段階にするかについて議論が行われた。
八橋構成員が「肝機能が段階的に悪化していくことを考えると、4段階の方が理解されやすいと思う」としたのに対し、和泉委員は「本当に利益があるためには、2級の人たちを1級みなしにした方がいいと思う。(昏睡状態の人など)動きのない人に利益があっても、身体障害者福祉法としてはそうならないように支えていくというのが本来の考え方だと思っている」と述べた。
これを受け柳澤座長も、「身体障害者福祉法はエンドステージの患者さんに対しての福祉ではないように理解している。1、2級を含めたものを1級として、ある程度の幅を持って身体障害者福祉法としてのサービスを提供することの方が、内科疾患に関しては実態に合っているのかなと思う」などと述べた。
【Child-Pugh分類】
肝障害度を評価する分類の一つで、総ビリルビン値、血清アルブミン値、PT(プロトロンビン)時間などの進行度別に点数化されており、合計点で重症度が分かる。重症度には、グレードA(5-6点)、B(7-9点)、C(10-15点)がある。
厚労省は障害等級を決定する際の評価項目について、肝障害度を評価する分類の一つである「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」の客観的な検査数値のほか、▽障害に影響する病歴▽補完的な肝機能診断▽日常生活活動に関係する症状-を挙げた。
これに対し柳澤座長は、「妥当ではないかと思う」と述べた。厚労省はこの日の議論を踏まえ、専門家と個別の項目などについて検討を行い、次回会合で具体案を提出する方針だ。
厚労省はこのほか、認定の前提として、治療によって今後の症状の改善が見込めず、症状が固定・永続することを確認する必要があるとして、3-6か月の一定期間を置いて2回の評価を行うことや、肝機能を一時的に悪化させる要因の影響がなくなった状態での評価を基本とすることなどを提案。前回の議論で肝機能障害の範囲に含めるかどうかが焦点となったアルコール性肝障害については、断酒によってアルコールの影響がなくなった状態で肝臓のダメージを評価するなどとした。
これに対し八橋弘構成員(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター治療研究部長)は、「肝機能障害を起こす原因で、除去できるものは可能な限り除去する。除去しても回復しない肝障害・肝疾患を救済するという姿勢でいいと思う」と述べ、あくまで原因の除去が前提との考えを強調した。
厚労省が示した3-6か月の期間については、林紀夫構成員(阪大医学部附属病院長)が、「申請をする時に、既にほとんどの患者さんは病院にかかっているので、時間をさかのぼって3-6か月前のデータを使ってもいいのならば、その期間を設けてもいいと思う」とした。
しかし和泉徹構成員(北里大医学部循環器内科学教授)は、「アルコール性肝障害の場合、3か月の断酒率は高いが、6か月になるとぐんと落ちる。断酒の期間は非常に大切だと思う」などと指摘した。
議論を踏まえ柳澤座長は、アルコール性肝障害については6か月が妥当であると提案。厚労省側は「アルコールを含む要因が除去できたことを確認するため、診断書の様式の中に『アルコール断酒6か月』という項目を入れれば確認も可能になるかと思う。具体的なものをつくる時に、肝機能の専門の先生方と相談して様式を固めていきたい」などと述べた。
また、障害等級については、心臓や腎臓などの障害と同じく1、3、4級の3段階にするか、HIVによる免疫機能障害のように1-4級の4段階にするかについて議論が行われた。
八橋構成員が「肝機能が段階的に悪化していくことを考えると、4段階の方が理解されやすいと思う」としたのに対し、和泉委員は「本当に利益があるためには、2級の人たちを1級みなしにした方がいいと思う。(昏睡状態の人など)動きのない人に利益があっても、身体障害者福祉法としてはそうならないように支えていくというのが本来の考え方だと思っている」と述べた。
これを受け柳澤座長も、「身体障害者福祉法はエンドステージの患者さんに対しての福祉ではないように理解している。1、2級を含めたものを1級として、ある程度の幅を持って身体障害者福祉法としてのサービスを提供することの方が、内科疾患に関しては実態に合っているのかなと思う」などと述べた。
【Child-Pugh分類】
肝障害度を評価する分類の一つで、総ビリルビン値、血清アルブミン値、PT(プロトロンビン)時間などの進行度別に点数化されており、合計点で重症度が分かる。重症度には、グレードA(5-6点)、B(7-9点)、C(10-15点)がある。