ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

地域に根ざした「就業実習」――知的障害者の戦力化《後編》2

2010年06月29日 01時24分27秒 | 障害者の自立
ベテランたちが見せる熟練の技

 現社長の大山隆久さん(41歳)は創業者・大山要蔵氏の孫で、2008年4月に父親の泰弘現会長の後を継いで4代目社長に就任した。大山社長は開口一番、「まずは工場を見てください。当社は現場がすべてですから」。こうして案内されたのが、冒頭のチョークの生産ラインだ。

 工程はまず原材料を混ぜ、練り上げるところから始まる。ダストレスチョークの原料は、ホタテの貝殻粉末を加えた炭酸カルシウム。これに色素剤を調合して、棒状に成型する。これを一定の長さに切断し、10本程度ずつにまとめて乾燥工程に。ここで丸1日かけて乾燥した後、1本1本のチョークの長さ(標準品の場合は63ミリメートル)に再度切断し、梱包ラインに流す。標準品では12本×6段の計72本が1箱に梱包されていく。こうして最終検品工程を経て、段ボール詰めされて出荷の運びとなる。

 12人の工員たちはこれらの各工程を分業体制で受け持っており、担当する仕事はだいたい固定されているという。例外は、ライン全体の作業を統率しているリーダー格の「班長」とサブリーダー格の「5S委員」(5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字)。

 いずれも知的障害のあるベテラン社員で、技能や実績をベースに「他人に親切に教えたり、サポートしたりできる人」が選ばれている。自分の仕事をこなしながら、ほかの社員の動きを見守ったり、報告を受けたりするのが役目。シフトに欠員が出た時や仕事が押せ押せになる繁忙期などには、必要に応じてほかの人の仕事を応援することもあるといい、臨機応変に動くことができる多能工としてラインを支えている。

 どの社員も、無駄のない流れるような手さばきと、途切れることのない集中力で作業をこなしていることが強く印象に残る。例えば、梱包ラインで箱詰めを担当するベテランの女性社員は1日に1000箱もの梱包を難なく処理するという。

 特に驚かされたのは、不良品を見分け、はね除ける作業スピードの速さ。各人がそれぞれの担当工程で、ラインを流れてくるチョーク1本1本に目をこらし、瞬時の判断で不良品を取り除いていく。その手際の良さに半ばあっけにとられていると、大山社長は「私たちがやるよりも、はるかに素早く、厳しくチェックしてくれます。正直に言って、良品として出荷しても何ら問題のないレベルの製品でもはねますからね」と笑顔で解説してくれた。

 まさに熟練の技である。だが、それは見方を変えれば、“過剰品質”気味に不良品を除去していることにもなる。それでは必要以上に歩留まりを悪くし、生産性を落とす結果になるのではないか。

 その疑問に対して、大山社長は「不良品は再び砕いて材料に戻しますから、原材料のロスは全く出ないんです」と答えた。チョークという製品の特性が、知的障害者に特有の研ぎ澄まされた感性や能力とうまく合致しているのだろう、と感じた。

 もっとも、それは決して偶然の産物ではない。知的障害者が持っている潜在能力を引き出す創意工夫を、最初の2人を採用した半世紀前からコツコツと積み重ねてきた企業努力の成果、具体的に言えば、日本企業のお家芸である「カイゼン(改善)」運動によって得られたものなのである。

3につづく

カイゼンで能力を引き出す――知的障害者の戦力化《前編》1

2010年06月29日 00時52分51秒 | 障害者の自立
 知的障害のある人たちの「働く場」をどう確保していくかは、社会全体が取り組まなければならない喫緊の課題だ。とりわけ、最大の雇用の受け皿となるべき民間の企業セクターにとっては重い宿題と言える。厚生労働省によると、2009年6月現在、法定雇用率1.8%を義務付けられている従業員数56人以上の民間企業で働く知的障害者は5万6835人。漸増傾向にあるとはいえ、約22万人と推計される18歳以上の在宅の知的障害者の4人に1人程度しか企業で働いていない計算になる。

 今回は、「知的障害のある人をどのように雇い入れ、戦力化していくか」というテーマについて、2つの事例から考える。

 1つは、川崎市高津区に本社を置くチョークメーカーの日本理化学工業。ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』(坂本光司著、あさ出版)で紹介され、鳩山由紀夫前首相が昨年視察に訪れたことで一躍有名になった中小企業だ。今から50年前に知的障害者の採用を開始し、現在では全社員77人のうち、57人が知的障害者という驚くべき雇用率を実現している。そこには、どのような「経営の仕組み」があるのだろうか。

 もう1つは、関西を地盤とする中堅ドラッグストアチェーンのキリン堂。同社は「地域コミュニティーに根付いた店作り」という視点で、近隣の福祉施設と連携し、大阪府枚方市の店舗で知的障害者に就業実習の場を提供する試みを昨年から始めている。

 業種業態も、就業形態も、実践している手法も全く異なる両社だが、「企業は何をやるべきか、何をやらなければならないか」という明確な理念を持っている点は共通している。

 「ここは日本の正しい町工場だ」――。

 東急田園都市線二子新地駅から徒歩で約15分、多摩川との合流点にほど近い平瀬川の護岸に建つ日本理化学工業の本社工場。主力製品である「ダストレスチョーク」の生産ラインに一歩足を踏み入れた途端、こんな感想が脳裏に浮かんだ。


知的障害のある社員に任せる工場

 整理整頓が行き届いた清潔な工場で、配属されている12人の社員が黙々と作業をこなしている。いずれも知的障害のある社員で、一応、ラインの管理を担当する健常の社員はいるが、常駐はしていない。日常的に彼らの作業を監視したり、アレコレと指示を出したりすることも全くないという。完全に任せているのである。

 「集中力を乱されることを嫌がる人が多いのでは・・・」と少し緊張しながら遠慮がちに見学させてもらったのだが、そんな心配は杞憂だった。多くの社員がこちらに気づくと、「こんにちは」と明るく挨拶してくれた。

 中小企業の取材を30年以上続けてきた筆者は、会社の善し悪しを判別する2つの指標を体験的に持っている。それは「清潔な工場」と「従業員の元気な挨拶」だ。この2つが揃っている会社は、ほぼ例外なく「良い会社」である。それは優良企業に共通する特徴であり、景気変動などによって業績に多少の浮き沈みがあったとしても、経営基盤がしっかりと安定しているかどうかを鏡のように映し出す。日本理化学工業には、確かにそれがあった。だから、直感的に「正しい町工場」だと思ったのである。

 日本理化学工業は1937(昭和12)年に設立したチョークの専門メーカー。炭酸カルシウムを原料に、粉が飛散しない無害のダストレスチョークを初めて国産化することに成功し、53年には唯一の文部省斡旋チョークに指定された。現在の資本金は2000万円、年商は約5億5000万円で、その70%をチョークの売り上げが占める。

 川崎市の本社と北海道美唄市に工場があり、2010年5月現在、従業員数は77人。そのうちの74%に当たる57人が知的障害のある人で、さらにその約67%の38人が重度障害者である。本社工場には46人、うち知的障害者33人が勤務している。

 知的障害者の雇用を日本理化学工業が始めたのは1959年の秋。当時は専務だった現会長の大山泰弘氏が、東京・世田谷の青鳥(せいちょう)養護学校の先生の熱心な訴えに応え、2人の卒業予定者を短期間の就業実習で受け入れたのがきっかけだった。

 「仕事が見つからなければ、この子らは一生施設で暮らすことになる。正規雇用が無理なら、せめて彼女たちに“働くこと”を体験させてやってほしい」という先生たちの言葉に動かされ、働いてもらったところ、一生懸命に頑張る姿に従業員が感動。社員の間から「正式に雇ってあげてほしい。私たちが必ず面倒を見るから」との声が上がり、1960年春に正式採用に踏み切った。

 最初の2人が段々といろいろな仕事をこなせるようになると、その後任として次の卒業生を迎え入れる。そんなステップ・バイ・ステップの方法で、少しずつ採用数を増やしていった。採用の条件は「4つの約束」を守ること。

(1) 身の回りのことは自分でやる
(2) 「分かった」「分からない」など簡単な意思表示をはっきりとする
(3) 一生懸命に働く
(4) 周囲の人に迷惑をかけない

 この“採用基準”は今日まで一貫して受け継がれている。

2へつづく

余暇もバリアフリーに 支援センター開設1年

2010年06月29日 00時50分55秒 | 障害者の自立
会津若松 興味に合わせ行事多彩

 障害者の余暇の充実に役立てようと会津若松市が開設した「余暇活動支援センターふらっと」が今月、開設から1年を迎えた。全国でも珍しい障害者の余暇活動支援施設。利用者に好評を得ており、職員はより良い施設にしようと試行錯誤を重ねている。(小沼聖実)

 日曜日の午後3時過ぎ。同市中町の「ふらっと」では、男性の利用者数人が集まって世間話を楽しんでいた。うつ病だという男性(57)は「一人だし、仕事のない土日に家にいても、することがないから」と通い始めた。作業所の帰りに毎日通う人、休日に時々訪れる人など、利用の仕方は様々で、トランプやオセロ、読書をするなど、思い思いに過ごしている。別の男性(41)は「作業所では障害の種類が違う人と出会う機会は少ないが、ここでいろいろな人と知り合えた」と満足そうだ。

 「ふらっと」は、障害者の日中の居場所づくりと余暇活動のサポートを目的に、市が市内のNPO法人に運営を委託して開設した。土日を含む週5日、職員2人が常駐し、約26平方メートルの交流スペースを開放している。月に2~3回、スポーツ大会などのイベントも行われ、多いときには約200人が参加する盛況ぶり。この1年の利用者は延べで3000人近くになった。

 障害者福祉に詳しい会津大学短期大学部の林恵津子教授(48)によると、障害者は、養護学校や作業所など活動範囲が限られ、趣味を楽しんだり仲間をつくったりする機会が少ない。そのため、休日をどう過ごせば良いか分からず、ストレスをためがちという。

 障害者の余暇活動は10年ほど前から重視され始め、作業所などが独自に休日の活動を行ってきたが、林教授は「開催日が限られる上、毎回同じメンバーだったり、個人の興味に関係なく画一的な内容だったりと、不十分だった」と指摘する。

 「ふらっと」は、こうした問題の解消のために開設された。日常的な交流の場としての機能に加え、それぞれに興味のある分野を見つけてもらおうと、ボウリング大会、スイーツの食べ歩きなど、多様なイベントを開催している。今月23日には、市文化センターで絵手紙教室が開かれ、約20人が参加。手話通訳などのサポートを受けながら、思い思いに絵手紙を制作し、「初めてだけどうまく描けた」と楽しそうな声が響いた。

 ただ、職員の秀島聖子さん(42)は「居場所ができて良かった、で終わりではなく、これをきっかけに自主的に余暇を過ごせるようにするのが最終的な目標」と話す。「ふらっと」には、利用者が自由に書き込めるホワイトボードとノートが置かれている。「フットサルしたい人募集」「カラオケ行きませんか?」などと仲間を募り、サークル活動に発展させる狙いだ。秀島さんは「これまでにない取り組みで、まだまだ手探り状態。時間をかけて支援につなげたい」と話している。

 「ふらっと」は月・木定休。正午~午後5時。問い合わせは「ふらっと」(0242・29・2149)へ。

(2010年6月28日 読売新聞)

串本の障がい者施設殺人・裁判員裁判初公判

2010年06月29日 00時48分17秒 | 障害者の自立
去年(2009年)5月、串本町内の障害者授産施設で同僚の女性の首を絞めて死亡させ、殺人罪に問われている男の裁判員裁判の初公判が、きょう(28日)午後、和歌山地方裁判所で開かれ、男は起訴内容について「間違いありません」と述べました。起訴状によりますと、串本町(くしもとちょう)に住む施設作業員、下馬歩(げば・あゆむ)被告25歳は、2009年5月16日の午前11時半ごろ、串本町内の障害者授産施設で、好意を寄せていた当時20歳の同僚の女性作業員に嫌われた事からかっとなって、口に粘着テープを貼り、首をビニールひもで絞めて死亡させたとして、殺人罪に問われています。罪状認否で下馬被告は「間違いありません」と述べました。これに対して弁護側は冒頭陳述で、遺族や施設の関係者に謝罪したあと「被告は統合失調症を患っている。ビニールひもや粘着テープは被告のミニバイクのスタンドを固定させる為だ」などと主張しました。裁判は、下馬被告の犯行後の態度の度合いや量刑の重さなどを争点に、きょう(28日)から5日間の日程で裁判員らが審議します。裁判は、あす(29日)とあさって(30日)、来月(7月)2日にかけて、証人尋問や被告人質問、遺族の意見陳述などが行われたあと、論告と弁論を行い結審します。判決は来月(7月)5日に言い渡される見通しです。

和歌山放送ニュース

県が独自認定基準 - 障害者手帳の等級/腎臓機能障害

2010年06月29日 00時45分56秒 | 障害者の自立
 県は、腎臓機能障害の認定基準について、第三者委員会の意見をもとに、透析療法を1年以上継続して受けている患者を「1級」などとする、独自の基準を運用する方針を固めた。本年度内の施行を目指す。昨年9月定例県議会に「県腎臓病患者の会」が提出した請願をきっかけに、対応を検討していた。県によると、これまでに全国で約20都道県が独自の基準を設けているという。

 腎臓機能障害の身体障害者手帳の級について県は現在、血清クレアチニン値を重視した国の身体障害認定基準(国のガイドライン)を適用。人工透析の実施の有無にかかわらず、腎機能の指標とされる血清クレアチニン濃度が1デシリットル中5.0ミリグラム以上8.0ミリグラム未満を「3級」、8.0ミリグラム以上を「1級」と認定していた。

 しかし「3級」と「1級」では同じ透析医療を受けながら、所得税控除額が「1級」40万円なのに対し、「3級」は27万円と公助の差が生じている。また相続税、住民税にも控除に差があり、透析患者の間に不公平感が出ているほか、専門家からも血清クレアチニン値重視の認定方法には疑問の声が挙がって…

奈良新聞