生産者の高齢化や担い手不足が長年の課題となっている農業に、障害者の雇用を見いだす事例が増えつつある。障害者団体は「自然を相手に障害者のやりがいも大きい」、県も「今後の農業の担い手として注目したい」と歓迎している。
宇佐市安心院町のブドウ園「安心院農園」。経営する川村文孝さん(60)、貞恵さん(60)夫婦は、10年前に田舎暮らしを求めて大阪市内から移住した。10アールから始めたハウス栽培は今では72アールとなり、40品目を作っている。「農業は65歳まで。その後は誰かに譲りたいが体力に不安が出てきた。1人でも倒れたら採算ベースを維持できない」と“担い手”を募ることにした。
県の仲介もあって7月から障害者の雇用を始めた。1日に6人前後が訪れ、ブドウの袋掛けや、ブドウ狩りに訪れた人の接客などを担当。同園はこのほどカフェを新設し、アイスなどの加工品を提供している。農業の繁閑にかかわらず周年雇用する方針。「核となる人材が育てば、農園を譲っていい」と文孝さん。
2008年秋のリーマン・ショック以降、製造業の下請け工場などで障害者の雇用が激減した。仕事の確保が課題となる中、内尾和弘・宇佐市障がい者就労事業所共同受注協議会長は「高齢化に悩む農業は有望。作業者も生き生きと仕事をしている」と参入に積極姿勢を示す。
県障害福祉課によると、障害福祉施設が耕作放棄地などを利用することで、参入費用を抑えて農業に取り組む例が目立つ。2009年度末時点で県内の30施設が農業を営む。「過去の統計がなく比較はできないが、増えているのは間違いない」と同課。
農業の担い手施策を担当する県農山漁村・担い手支援課も「生産者と障害者の双方にメリットを見いだせるなら、担い手施策としても可能性を秘めている」と注目している。
大分合同新聞
宇佐市安心院町のブドウ園「安心院農園」。経営する川村文孝さん(60)、貞恵さん(60)夫婦は、10年前に田舎暮らしを求めて大阪市内から移住した。10アールから始めたハウス栽培は今では72アールとなり、40品目を作っている。「農業は65歳まで。その後は誰かに譲りたいが体力に不安が出てきた。1人でも倒れたら採算ベースを維持できない」と“担い手”を募ることにした。
県の仲介もあって7月から障害者の雇用を始めた。1日に6人前後が訪れ、ブドウの袋掛けや、ブドウ狩りに訪れた人の接客などを担当。同園はこのほどカフェを新設し、アイスなどの加工品を提供している。農業の繁閑にかかわらず周年雇用する方針。「核となる人材が育てば、農園を譲っていい」と文孝さん。
2008年秋のリーマン・ショック以降、製造業の下請け工場などで障害者の雇用が激減した。仕事の確保が課題となる中、内尾和弘・宇佐市障がい者就労事業所共同受注協議会長は「高齢化に悩む農業は有望。作業者も生き生きと仕事をしている」と参入に積極姿勢を示す。
県障害福祉課によると、障害福祉施設が耕作放棄地などを利用することで、参入費用を抑えて農業に取り組む例が目立つ。2009年度末時点で県内の30施設が農業を営む。「過去の統計がなく比較はできないが、増えているのは間違いない」と同課。
農業の担い手施策を担当する県農山漁村・担い手支援課も「生産者と障害者の双方にメリットを見いだせるなら、担い手施策としても可能性を秘めている」と注目している。
大分合同新聞