障害者たちが働く福岡市西区のレストラン「ゆずのき」が7日、オープン5周年を迎える。有機野菜を中心に和洋中の総菜を取りそろえたランチが、地元住民らに愛されてきた。「将来は2号店、3号店を開きたい」。節目を迎えたスタッフたちの胸に沸き上がるのは、5年間の達成感より将来への抱負だ。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか」。店を訪ねると、接客担当の男性が柔らかい物腰で出迎えてくれた。
バリアフリー設計でガラス張りの明るい店内。124席ある広いホールから見渡せる厨房(ちゅうぼう)では、食材を刻んだり、食器を洗ったり。各持ち場で知的・精神障害のある人たちが働いていた。表情が生き生きしている。
「ゆずのき」は05年9月7日、知的障害者の福祉工場として誕生した。07年2月には、一般企業のように施設が最低賃金を守り雇用契約を結ぶ「就労継続支援A型」施設に移行。現在36人の知的・精神障害者が働く。
平日ランチはご飯とスープに有機野菜の煮物やサラダなど15品前後、コーヒーとデザートで880円。味と安さが評判になり、8月27日には来店20万人目を突破。5周年記念に花を添えた。
道のりは楽ではなかった。開店1カ月後に障害者自立支援法が施行され、公費助成は減額。年間7000万円の売り上げを誇る今も、経営は厳しい。けれど施設長の田中邦義さん(62)は「心を込めて仕事をする社員たちの姿を見てファンになり、『今日も頑張ってますね』と声を掛けてくれるリピーターも多い」と手応えを語る。
月10人ほどの障害者が就職したいと面接に訪れる。田中さんは人気がうれしい半面、「障害者の働く場はまだまだ少ない現実を実感する」という。「地域で働きたいと願っている多くの障害者のためにも2号店、3号店を実現させたい」。新たな目標を胸に、「ゆずのき」のメンバーたちの6年目が始まる。
毎日新聞 2010年9月6日 西部夕刊
「いらっしゃいませ。お一人様ですか」。店を訪ねると、接客担当の男性が柔らかい物腰で出迎えてくれた。
バリアフリー設計でガラス張りの明るい店内。124席ある広いホールから見渡せる厨房(ちゅうぼう)では、食材を刻んだり、食器を洗ったり。各持ち場で知的・精神障害のある人たちが働いていた。表情が生き生きしている。
「ゆずのき」は05年9月7日、知的障害者の福祉工場として誕生した。07年2月には、一般企業のように施設が最低賃金を守り雇用契約を結ぶ「就労継続支援A型」施設に移行。現在36人の知的・精神障害者が働く。
平日ランチはご飯とスープに有機野菜の煮物やサラダなど15品前後、コーヒーとデザートで880円。味と安さが評判になり、8月27日には来店20万人目を突破。5周年記念に花を添えた。
道のりは楽ではなかった。開店1カ月後に障害者自立支援法が施行され、公費助成は減額。年間7000万円の売り上げを誇る今も、経営は厳しい。けれど施設長の田中邦義さん(62)は「心を込めて仕事をする社員たちの姿を見てファンになり、『今日も頑張ってますね』と声を掛けてくれるリピーターも多い」と手応えを語る。
月10人ほどの障害者が就職したいと面接に訪れる。田中さんは人気がうれしい半面、「障害者の働く場はまだまだ少ない現実を実感する」という。「地域で働きたいと願っている多くの障害者のためにも2号店、3号店を実現させたい」。新たな目標を胸に、「ゆずのき」のメンバーたちの6年目が始まる。
毎日新聞 2010年9月6日 西部夕刊