公的、私的な支援を得て授産施設などで働く「福祉的就労」には、20万人を上回る障害者が従事している。だが、月額平均賃金は「福祉工場」などを除き、1万2000円前後。一般就労への移行は年間約3400人(08年)に過ぎず、国の目標9000人には及ばない。
背景に労働・福祉の政策連携不足があると、本書は指摘する。障害の重い人でも働く能力が低いとは限らない。働く障害者に労働法の適用拡大を慎重に進めつつ、就労能力を評価する仕組みを整え、所得保障に連動する制度の構築を主張している。
経済学、労働法などの専門家、現場を知る施設経営者ら14人が、福祉就労に必要な取り組みを共同で執筆した。欧米諸国の現状も詳細に記され、障害者の就労支援をめぐる国際動向を知るのにも役立つ。
編著者の岩田氏は国立社会保障・人口問題研究所の特任研究官。長男が重度の身体障害者で、障害者の雇用・就労問題と社会保障の政策連携をライフワークの一つとしている。より柔軟な時間、条件による就労を可能にする「フレックス・ジョブ」を導入したデンマークを、「日本がモデルにすべき一つ」と語る。 (中央法規・3150円)
毎日新聞 2012年1月15日 東京朝刊
背景に労働・福祉の政策連携不足があると、本書は指摘する。障害の重い人でも働く能力が低いとは限らない。働く障害者に労働法の適用拡大を慎重に進めつつ、就労能力を評価する仕組みを整え、所得保障に連動する制度の構築を主張している。
経済学、労働法などの専門家、現場を知る施設経営者ら14人が、福祉就労に必要な取り組みを共同で執筆した。欧米諸国の現状も詳細に記され、障害者の就労支援をめぐる国際動向を知るのにも役立つ。
編著者の岩田氏は国立社会保障・人口問題研究所の特任研究官。長男が重度の身体障害者で、障害者の雇用・就労問題と社会保障の政策連携をライフワークの一つとしている。より柔軟な時間、条件による就労を可能にする「フレックス・ジョブ」を導入したデンマークを、「日本がモデルにすべき一つ」と語る。 (中央法規・3150円)
毎日新聞 2012年1月15日 東京朝刊