足が不自由で電動車椅子で生活する杵築市山香町の岩尾真人(まこと)さん(18)が今春、別府大学国際経営学部に入学。大学内で公的な福祉サービスを受けながら学生生活を送っている。入学に際し、相談を受けた障害者の自立支援団体は「現行の制度では、身体障害者が大学や職場内で介助を受けるのは難しく、全国的にも珍しいケースではないか」としている。
「経済的に自立した大人になりたい」。岩尾さんはそんな夢を抱き、大学進学を希望したが不安もあった。春まで通っていた特別支援学校では教員のサポートがあったが、大学ではトイレや学内の移動などを自力でしなければならないと分かったためだ。
家族が一日中、学内で支援するのは限界がある。母親のやよいさん(49)は進学の夢をかなえたいと、障害者自立支援団体のNPO法人「あっとほぅむぷれいす」(別府市)に相談。杵築市と協議した結果、市の裁量で決まる地域生活支援事業による学内生活へのヘルパー派遣が決定した。大学側も教室を1階に変更したり、車椅子で使いやすい机を設置するなど柔軟な対応を取り、安心して通える体制が整った。
入学して約2カ月。ヘルパーの移動介助などを受けながら学生生活を満喫している。サークル仲間の自然な手助けもあり、気持ちの余裕も生まれた。「障害者だからここまでしかできないと思われたくない。企業に就職し、健常者と同じように仕事をしたい」。簿記や会計学、得意のパソコン技術を高めようと挑戦中だ。
母親の介助で大学生活を送った「あっとほぅむぷれいす」スタッフの川野陽子さん(33)は「友人にノートを取ってと頼むことも多かったが、忙しそうにしていると頼みづらかった。誰もが安心して支援を受けられる体制が必要」と訴える。
<メモ>
現行の障害者自立支援法では、身体に障害がある人の長期や通年にわたる移動や移動先での支援については市町村の裁量。多くの市町村は財政負担の面や「支援は学校や職場の責務」としていることから認めていないのが現状。

ヘルパーの介助を受けながら、大学内を移動する岩尾真人さん。「自分の頑張る姿が誰かの励みになればうれしい」と話す=5月23日、別府市北石垣の別府大学
大分合同新聞 - [2012年06月02日 15:01]
「経済的に自立した大人になりたい」。岩尾さんはそんな夢を抱き、大学進学を希望したが不安もあった。春まで通っていた特別支援学校では教員のサポートがあったが、大学ではトイレや学内の移動などを自力でしなければならないと分かったためだ。
家族が一日中、学内で支援するのは限界がある。母親のやよいさん(49)は進学の夢をかなえたいと、障害者自立支援団体のNPO法人「あっとほぅむぷれいす」(別府市)に相談。杵築市と協議した結果、市の裁量で決まる地域生活支援事業による学内生活へのヘルパー派遣が決定した。大学側も教室を1階に変更したり、車椅子で使いやすい机を設置するなど柔軟な対応を取り、安心して通える体制が整った。
入学して約2カ月。ヘルパーの移動介助などを受けながら学生生活を満喫している。サークル仲間の自然な手助けもあり、気持ちの余裕も生まれた。「障害者だからここまでしかできないと思われたくない。企業に就職し、健常者と同じように仕事をしたい」。簿記や会計学、得意のパソコン技術を高めようと挑戦中だ。
母親の介助で大学生活を送った「あっとほぅむぷれいす」スタッフの川野陽子さん(33)は「友人にノートを取ってと頼むことも多かったが、忙しそうにしていると頼みづらかった。誰もが安心して支援を受けられる体制が必要」と訴える。
<メモ>
現行の障害者自立支援法では、身体に障害がある人の長期や通年にわたる移動や移動先での支援については市町村の裁量。多くの市町村は財政負担の面や「支援は学校や職場の責務」としていることから認めていないのが現状。

ヘルパーの介助を受けながら、大学内を移動する岩尾真人さん。「自分の頑張る姿が誰かの励みになればうれしい」と話す=5月23日、別府市北石垣の別府大学
大分合同新聞 - [2012年06月02日 15:01]